ご紹介/自分らしさと多様性を織り込む、「さをり織り」の世界の魅力
2020.04.13(この記事は、外部団体・企業で行われる取り組みのご紹介となります。内容の詳細についてのお問合せは、下部に記載する団体・企業へご連絡ください。)
スタジオそら原宿から歩いて10分、渋谷区千駄ヶ谷の閑静な住宅街に手織適塾SAORI東京があります。
訪ねてみるとそこには、カラフルで様々な種類の糸で自由に織られた作品、自分で決めた色のパターンに作者のこだわりを感じる作品、何柄とも言い難いおもしろい柄の作品、色々な作品が飾られていました。どの作品もどこか優しい雰囲気で「ありのままが素敵」と受け入れてくれているように感じました。
そんな不思議な魅力を持つ、さをり織りについてNPO法人さをりひろば・事務局長の城哲也さんにお話を伺いました。
値段がつかない織物にも面白い柄としての価値
さをり織りは今から約50年前、大阪の主婦が手織りで感じた想いから生まれています。
織物はたて糸とよこ糸で構成されています。彼女が織った作品は、たて糸が1本抜けていました。プロの方はそれを見て「これ、売りものになりませんよ。たて糸が抜けています。」と言われてしまいます。
しかし、彼女は「これはたて糸が抜けてるから面白い作品になっている。世の中これを見逃して捨てているのか?間違っているぞ!」と思い立ちます。
そうして誕生したのがさをり織りです。
ルールがない、単純で失敗もない、自分を表現できる織物
さをり織りにはルールがありませんので、1つ1つ異なるデザインの作品ができます。大人も子どもも簡単に「ペダルを踏む」「好きな糸を通す」「板をひいて打ち込む」の3ステップでできてしまいます。
手順がシンプルなので失敗がないのが特徴です。むしろ失敗したと思った時にこそ、面白い柄ができあがります。
さをり織りは、固定概念抜きでおもしろい・ワクワクすると感じることができる”人づくり”にもなると思います。
発達障害があるからこそ、素敵な作品に
ペダルを踏む作業があるので身長の低いお子さまは補助が必要になりますが、さをり織りは4歳のお子さまから何歳でも織ることが出来ます。
さをり織りは本人のデザイン、ペースを大事にします。技術を学ぶものではありません。どんな糸を使っても、デタラメな並べ方でも、全て素敵な作品になりますので、自己肯定を行えるひとつのツールにもなりえます。また、自身が感じるままに織ることができるので、一般の大人たちでは思いもつかない作品が、発達障害のある人達から生まれてくることもあります。
ですので、誰でもやりたいという想いがあるなら、一緒に輪の中に入ることが出来ます。
障害のある方からは、さをり織りの多様性の高さによって、みんなの中でしっかりと自分の居場所を見つけることが出来たという声を数多く受けています。
さをりを始める、さをりで繋がる
もし興味を持ち始めてみたいという方がいれば、近くのさをり塾へお問い合わせください。(ホームページ:http://www.saori.co.jp)
自宅で始める場合は、織り機、糸などを購入して、3回程度学びに行けば手順は分かります。
楽しいのは、その後の多くの仲間と一緒に作品展やワークショップを行う事だと思います。その場で、人と関わることで起こる偶然もさをりでは大事にしています。
全国で数多く行っている作品展については、ホームページや機関紙「SAORI REPORT」に情報が掲載されています。
発達障害や知的障害のあるお子さまがおられる方へ
今まではあなたが、お子さまを全面的にサポートしてこられたと思います。
さをり織りで、これからはお子さまがあなたをサポートしてくれる日が来るかもしれません。そのためには、あなたはサポーターではなく、さをり織りの作家になることをお勧めします。
親子ではなく、同じさをり作家であるという認識を持ってください。お子さまにかなわないところをたくさん感じてください。
それを感じられた時、親離れ、子離れは達成されるかもしれません。
NPO法人さをりひろば
(HP:http://www.saori.co.jp)
事務局長・城哲也
NPO法人さをりひろばでは、全国の方々にさをりというものを通して、見方の角度を変えてみませんかと一石を投じる指導者の育成。また、障害がある人、無い人、シャッフルしても、お互いがリスペクトしあうことが出来る場所づくりをしています。
その他の活動は以下の通りです。
手織適塾SAORIでは、活動に必要な表現しやすい織り機と糸の提供。そして、作品の販売会の実施、手織塾の運営をしています。
一般社団法人COOPSAORIでは、主に施設、作業所の方の作品の販売、相談、布の買取、商品開発などを行っています。