発達支援療育の実例と保護者の声②
2018.12.10スタジオそら用賀に通所されているお子さまの課題や、スタジオそら用賀で行っている発達支援療育、さらに療育を受けてからのお子さまの変化などをお伝えします。
お子さまの基礎情報
知的な遅れを伴う自閉スペクトラム症。
3歳4ヶ月の頃よりスタジオそら用賀に通所を開始して現在6歳の女の子。
<保護者が感じていたお子さんの課題>
意思疎通が難しく、大人の指示を理解して従うことがなかなかできなかった。
小石や木の枝を拾って並べる、投げる、木の皮や葉っぱをむしる、テープやシールを剥がすなど、自分のやりたい行動をずっとやりたがっていた。
スタジオそらで設定した支援目標
A 鉛筆で Ⅰ◯✕△□ が書けるようになる。
B ルールが3つ以上(追いかける、逃げる、ボールを拾う、ボールを投げる、)の遊びを5つできるようになる。
C 嫌・NOの意思表示を首を振って伝えられるようになる。
D 順番を待つことができるようになる。
E 着替える・服をたたむ・しまうができるようになる。
意思疎通には、<相手の意思を理解する><自分の意思を伝える>の2つのスキルが必要になります。支援目標Bは相手の意思・意味を理解することが前提となっており、意味が理解できればお子さんは楽しく遊びができ、理解しようと思う動機づけにもなっています。また、支援目標Cは、マカトンサインでの理解が増し模倣も増えてきたので、次のステップとして「嫌な事や違う時に首を振って伝えられるようになる」を目標として置きました。
小石や木の枝を拾って並べるなどの一人遊びから、他児とコミュニケーションをとる遊びに、遊びの発達段階を上げる過程で、必要になる順番を待つを支援目標Dに設定しています。また、就学を目前にしているので鉛筆を使う練習や、1人で身支度ができるようになる練習をとりいれています。
スタジオそらで行っている発達支援療育
日々子どもの発達段階を観察し、プログラムは一進一退しながら進めます。ある日のお子さんの発達支援療育のプログラムをご紹介します。
①運動着に着替える
…支援目標Eに対して、着替えを行う。
②円周を走り、ボールを拾う遊び(キッズステップ15個を並べた円周の中に、カラフルなボールを入れておく。音楽をかけている間はキッズステップを15個を並べた円周を走る。音楽が止まったら先生が色と個数の指示を出すので、その指示通りのボールを取ってくる。)
…支援目標Bに対して、ルールが3つある遊びを行う。
③ハンカチ落とし
…支援目標Bに対して、ルールが3つ以上ある遊びを行う。
④なぞり書き
…支援目標Aに対して、Ⅰ◯✕△□のいずれかのなぞり書きを行う。
⑤ふうせんラリー
…支援目標Aに対して、追視、力のコントロール、集中力の強化を行う。追視を行えるようになることで、なぞり書きの手の動きや、見本を見ながらの模倣がスムーズに行えるようにする。
⑥パズル(4種類のパズルを提示し、どのパズルがしたいか選択してもらう。その際、「このパズルがしたい?」と1種類ずつ指を指して質問し、首を振って「やりたい」「やりたくない」を伝える。)
…支援目標Cに対して、4種類以上の選択肢を提示し、YES・NOを首を振って答えてもらう。
⑦黒ひげ危機一発
…支援目標Dに対して、お子さんと先生が交互に行うことで成立する遊びを行う。
スタジオそらに通ってからの子どもの変化
本人のやりたがる行動を遊びに繋げていただけたことで、他のことにも目を向けることができるようになっていった気がします。指示に従うことが大分できるようになってきたため、サーキットトレーニング(数種類の単純な運動を休憩をとらず順番に行うトレーニング)や微細運動(手先などの細かな動き)などのプログラムを通して、新しくできることが増えました。
また、ルールのある遊びも先生となら随分できるようになってきたので、スタジオそら以外の場所でもできるようになるのが楽しみです。まだ発語はほとんどないものの、コミュニケーションの幅が広がったように感じています。