子どもの成長実例と保護者の声②
2019.04.15スタジオそら幡ヶ谷に通所されているお子さまの課題や、スタジオそら幡ヶ谷で行っている発達支援療育の支援目標、さらに療育を受けてからのお子さまの変化などをお伝えします。
保護者が感じていたお子さまの課題
ASD(自閉症スペクトラム障害)・アスペルガー症候群・LD(限局性学習障害)がある6歳の男の子。
子どもの様子で気になることが大きく3つありました。
1つ目は、手先が不器用で鉛筆やクレヨンを持って描くことを嫌がり、描こうとしなかったことです。その後、文字の習得に時間がかかるディスグラフィアという学習障害があることがわかりました。
2つ目は、自分の身体へのボディイメージが弱く、身体をうまく動かせず、動作のまね、模倣が苦手でした。
3つ目は、目で物を追う、とらえるという追視が苦手で視野が狭く、目で見たものを手先に伝えて操作することや手足に伝えて体を動かすことが苦手でした。
スタジオそらで行った課題に対するプログラム
■書字
課題:
・文字のバランスが崩れる
・文字が枠に収まらない
プログラム:
・なぞり書き
・模写
活動しやすくするアプローチ・支援:
・色分けをした用紙でなぞり書き
・文字のバランス、角度に補助線をつけた用紙で模写
・枠は小学1年生用の35mmマスを使用
■ジョイントアテンション(共同注意)
課題:
・注目するポイントを見続けることができない
・目が合わない
プログラム:
・先生が話をしている時は先生の顔を見る
・先生が離れた場所を指差して、視線を移させる
活動しやすくするアプローチ・支援:
・視線が他のものに移ってしまう場合は視覚の上で刺激の少ない場所を背景にする
・見なければいけないものの距離を物理的に近くして見やすくする
・音などアテンション(注意・注目)をとりやすい方法を使用する
■箸
課題:
・正しい持ち方で持てない
・上の箸を動かすことができない
プログラム:
・鉛筆の持ち方を安定させる(親指・人差し指・中指で持つ)
・3本指で上下運動の練習
活動しやすくするアプローチ・支援:
・補助具を使用し鉛筆を正しく3本の指で持つ
・中指、人差し指で上の箸を上下運動する練習
■ボディイメージ
課題:
・模倣ができない
・身体の動かし方を知らない
・思うように動かせず、技能習得が遅い
プログラム:
・ラジオ体操
・準備体操
活動しやすくするアプローチ・支援:
・一連の流れで行わず部分的に抜き出し、関節の位置や動かし方を身体補助や言語補助で習得させる
・視覚カードなどを使用し、部位の理解をさせる
・床にテープを貼り足の位置を理解させる
■追視(眼球運動)
課題:
・文章の同じ行を読んでしまう
・向かってくるボールを目で追えず、とれない(技能面は省く)
プログラム:
・「注視」一点を長く見続ける。10秒以上
・「追視」先生がA点とB点離れている2点をジャンプし、児童は追いかける
活動しやすくするアプローチ・支援:
・照明・採光・まぶしさに配慮し、調整する。
・文字のサイズ・フォント・白黒反転・コントラスト・背景の単純化・色フィルターの使用などに配慮する。
保護者が感じるお子さまの変化
目で数字を追う数字タッチをしたり、大縄跳びの練習をするようになって、身体の使い方を少しずつ楽しみながら学ぶようになってきました。また、鉛筆で自分の名前が書けるようになってきたり、苦手だった箸も『幼稚園のお弁当にはスプーンとフォークを入れないで箸だけにして!』と言えるほど、箸を使って食べられるようになってきました。
目の使い方が少しずつわかるようになり、文字を追うことができるようになってきて自分の好きな本が読みやすくなったようです。ひらがな、カタカナ、漢字と読む文字の幅が広がりました。座ってペンを持ち、課題に取り組むことに対することに対する苦手意識が低くなってきました。
スタジオそらに通所し始めて9ヶ月。幼稚園では、工作や絵にも自分で取り組もうという頑張っている姿がみられるようになり、二学期の個人面談で幼稚園の先生から、『療育に通われて苦手だったところがだいぶ変わってきましたね』と言われました。
これから小学校に入学して、学習や集団生活が始まるので本人がぶつかる課題が多くなってくると思うのですが、スタジオそらに通いながら本人のストレスを減らして自信につながるようにサポートできればと思っています。