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特集
砂遊びで子どもの成長を

外遊びに取り入れたい!砂遊びに含まれる子どもの発達の可能性

2018.10.01

夏の暑さが少しずつ和らぎ、外でも遊びやすい季節になってきました。今回は、大人も一緒にしやすく、子どもに合った自由な遊びができるものとして「砂遊び」をおすすめしたいと思います。

 

「砂遊び」について、どんな良い発達的要素があるのか、何に注意して行えばいいのかなど丁寧に見ていきます。

 

子どもに合った遊びができる砂遊び

公園の砂場に子どもがたくさん集まっている様子を目にすることは皆さんあると思います。その集まっている子どもたちの年齢はどれくらいでしたか?1歳、2歳、3歳…時には大人まで混ざって遊ぶこともあります。同年代の子どもが集まっているわけではなく、様々な年齢の子どもが同じ空間で遊んでいることもあるのではないでしょうか。

 

様々な子どもたちが1つの空間で別々の遊びをすることも、時には協力して遊びを展開していくこともでき、それは砂遊びの持つ特徴ではないかと考えます。

 

同じ園庭の遊具であるすべり台やブランコなどは、その物理的な「もの」としての機能によって子どもの遊びにはある程度制約が付されます。つまり、すべり台は「登って滑る」、ブランコでは「こぐ」という行為がそこでの主要な活動となり、それ以外の遊びを発展させるのはちょっとむずかしい遊具です。 これに対して<砂場>は、単に多量の砂が盛ってあるだけというたいへんシンプルな構造ですが、多様な遊びの広がりを可能にする遊び場です。(引用:<砂場>と子ども 笠間浩幸 140−141)

 

子どもたちが自らに合った遊びを行えるよう、時には触り心地を確かめる砂場に、時には1つのモノを作り上げるための砂場に、時には友達とコミュニケーションをとるための砂場に変化するのです。

 

<Point 砂場はどんな年齢でも自分にあった遊びができる>

 

砂遊びの発達的要素

砂遊びの中には非常に多くの発達を促す要素が含まれています。子どもたちは砂遊びを通してたくさんの能力や感情を発達させています。

 

①感覚

サラサラ、ザラザラした砂を触ったり、色の違いを認識する。

②情緒

ありのままの自分で安心して遊びに挑戦できる。活発な活動も、落ち着いた活動もできる。

③身体運動

砂の上を歩いたり跳ねたりすることでバランス感覚を身につける。

穴を掘ったり、水を運んだりすることで筋力をつける。

④物の操作

失敗を許された環境の中でバケツやスコップなどを繰り返し使う。

⑤言葉

感情や経験、想像を言葉で表現し、砂遊びをより活発なものにする。

⑥社会性

年齢が上がるにつれ共同作業が増えるようになる。

⑦想像と創造

砂を固めたものを別のものに見立てて、ごっこ遊びが行える。

⑧認知

砂の量、形、重さなどを比較したり、模倣したりしながら認知する。

⑨科学的態度

砂と水を合わせ、その変化を見つめ調節する。試行錯誤しイメージを具体化する。

⑩自己

イメージ通りにできたら喜び、そうでなければ繰り返し行う。

 

また、砂遊びは成長とともに変化していきます。

 

フェイズ1 感覚的な出会いとしての砂遊び

見る、触れる、歩く、座るなど

 

フェイズ2 砂で遊ばない砂遊び

物を持つ、すくう、いれるなど

 

フェイス3 砂で遊ぶ砂遊び

穴を掘る、山をつくる、水を混ぜる、団子をつくるなど

 

フェイズ4 イメージと言葉で広がる砂遊び

砂を何かに見立てる、友達とやりとりをする、協力をする、ごっこ遊びなど

 

フェイズ5 アートとしての砂遊び

イメージに沿って模様や形をつくる、制作物を評価し振り返るなど

(参考:子どもと発育発達 笠間浩幸 1−4)

 

子どもが砂場でどのような遊びをするのかを見てみると、砂遊びにおける発達がどの段階なのか確認できて面白いかもしれません。子どもの発達で気になる部分があるのであれば、自然な流れで課題に取り組むのもいいでしょう。(例:粗大運動に課題があるなら、砂のハードルを作り、宝物に見立てて踏まないように歩いてみるなど。)

 

<Point 砂遊びには様々な発達的要素があり、成長とともに変化する。>

 

砂遊びへでかけよう!

多様な砂遊びを発展させるにはたくさんの道具を持っていかないといけない!そう思っている方も少なくありませんが、道具は案外身近なもので対応できます。空のペットボトルや瓶、落ち葉や小枝、あとは水があると砂遊びに幅が出ます。

 

既成のおもちゃは持っていかない方が、正しい使い方に拘らない遊びを展開しやすくて特に発達障害の子との相性がいいのかもしれません。

 

熱中症対策として

スタジオそらでは環境省が発表する暑さ指数(WBGT(湿球黒球温度):Wet Bulb Globe Temperature)を目安に、その日の屋外活動の実施を決めています。

 

暑さ指数は、熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案された指標です。 単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されますが、その値は気温とは異なります。暑さ指数(WBGT)は人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標で、人体の熱収支に与える影響の大きい ①湿度、 ②日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境、 ③気温の3つを取り入れた指標です。 (環境省 熱中症予防サイト)

 

暑さ指数は環境省のHPで地域ごとに毎日更新されています。遊びを行う上では激しい運動を伴う場合もありますので「運動に関する指針」を参考にされてください。暑さ指数31℃(気温でいうとだいたい35℃だそうです。)以上であれば、中止しましょう。スタジオそらでは安全を考慮し、暑さ指数1℃厳しく見て30℃以上は中止、それ以下はこまめな休憩と水分補給、また開催場所(木陰など)を十分考慮して開催しています。

 

暑い日の砂遊び

外出を控えなければならなくなっても子どもたちの遊びたい気持ちを抑えることはなかなか難しいと思います。家の中では身体を思い切り動かすこともできず、機嫌もななめ、さらに夜も寝てくれなくて保護者の方もぐったり疲れ果てることも・・・。

 

そんなときにオススメしたいのが屋内遊び場。天候に左右されず様々な遊具で遊ぶことができます。砂場のある屋内遊び場も最近は少しずつ増えてきているので「屋内砂場」とWEB検索してみてくださいね。

 

引用・参考文献

笠間浩幸(2001)<砂場>と子ども 子どもの発達と<砂場>の役割 p140−p141

笠間浩幸(2014)子どもの発育発達Vol.11 No.4 砂遊びに見る子どもの育ち p1−p4

スタジオそら事務局

スタジオそらの事務局です。スタジオそらからのお知らせや、旬なニュース、子育てに役立つ情報などワクワクする情報をお届けします。

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