相手に合わせた工夫と環境を。障害者雇用を先導する、日本理化学工業を見学しました。

　「日本一強く、優しい会社を目指す。経営的にも強く、精神的にも強く、人に優しく接することができ、人と環境に優しい商品を作り続ける。」をビジョンに掲げ、ダストレスチョーク・キットパスなどの製造・販売を行う日本理化学工業株式会社は、知的障害のある社員が全体の7割を超えているそうです。

今回ご縁をいただき、日本理化学工業株式会社・川崎工場を見学し、社長の大山隆久さんにお話を伺うことができましたので、ご紹介します。

　「日本理化学工業の社員は91名。全体の7割くらいの66名に知的障害があり、そのうち25名は重度と呼ばれる方です。」

そう伺った上で工場を見学した時、高い集中力で想像を遥かに超える緻密な作業をされている従業員の方の姿にとても驚きました。

　工場内では作業着姿で機械に向かい、チョークの材料を入れる方、細長く・柔らかいチョークを板に並べる方、並んだチョークを裁断する方など、たくさんの方が働いていました。製造ラインには複数人の方が並んでおり、一人ひとり異なる作業をされていましたが、そのどれもが機械では上手く行えない緻密な手仕事です。

　これだけたくさんの知的障害の方が、難しい作業にもかかわらず働きやすい環境を作れるということは、障害に対して深く勉強されているんですねと伺うと、

「私たちは障害に対する知識って、ほとんどないんです」

と大山さんはおっしゃいました。

　日本理化学工業がする唯一のことは、“その人をみること”だそうです。

　一番大切にしていることは、その人の理解力に合わせて段取りをして教えていくことです。言葉で言って伝わる人は多くありませんが、例えば見て覚えるのが得意な方には先輩の作業を見る時間をたくさんとったり、色で覚えるのが得意な方には色分けした容器やボタンを使ったりして教えています。

障害者と聞くと、その人のできないことや苦手なことばかり見て、その人はこういう人だってレッテルを貼ってしまうというのは、よくあることなんだと思います。もしそういう人が教えた場合、何かできないことがあれば「やっぱりできないんだ」と立ち止まってしまうことが多いと思います。しかし、私たちは60年以上障害者雇用をやってきた歴史があるので、障害のある方はいっぱい色んなことができるんだということを知っています。できるということを知っているので、上手くいかなくても、別の方法で伝えてみようとなるわけです。

　日本理化学工業には昔から「誰かに何かを教えた時、その人ができなかったら教えた方が悪いんだ。だから教えること、伝えることを諦めるな。」という教えがあり、採用したからには絶対戦力になってもらえるよう教えていくということでした。

　障害者雇用というと、人間関係や仕事内容が合わないなど様々な理由から離職率が高いことが問題視されますが、日本理化学工業の離職率はとても低いそうです。その理由として、一人ひとりが自分の能力に合わせて働くことができる環境の他に、採用のミスマッチがないということを教えてくださいました。

障害のある方の入社には、まず近隣の支援学校に声をかけ、興味のある方に実習にきてもらうそうです。実習の中でその方の得意なことや興味のあること、会社に合いそうかどうかなどを見極めていき、2回目・3回目の実習はお互いにマッチしているなと感じている場合に実施していきます。その中で実習内容もよりその方に合いそうなところをお願いしていくので、入社されるときには「思ってたのと違ったな」ということがないようになっているんだそうです。

　何よりも人のことを考えることを大切にしている日本理化学工業の主力商品は、ダストレスチョークとキットパスです。どちらも環境にも体にも優しい材料で作られています。

中でもキットパスはお子さんにとってより安全に使いやすく、原材料をライスワックスに変更したり、太軸やおふろ用などの幅広いラインナップが展開されていたりして、使う人にとっても優しい会社であることが伺うことができますね。

（キットパスに関しては10月更新のそら通信でご紹介します。）

https://www.rikagaku.co.jp/

「日本一強く、優しい会社を目指す。経営的にも強く、精神的にも強く、人に優しく接することができ、人と環境に優しい商品を作り続ける。」をビジョンに掲げ、ダストレスチョーク・キットパスなどの製造・販売を行う企業。