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特集
世田谷区長保坂展人さん。子ども・子育て・発達障害について語る。

世田谷区長 保坂展人/子どもたちの未来について

2016.02.10

障害児についてのお考えを聞かせてください。

保坂展人区長(以下、保坂):
そうですね、やはり、一つのクラスの中に何人も発達障害の傾向あるんじゃないかというお子さんが出てきているのは事実ですね。やっぱり子どもたちの暮らしとかさまざまな環境の問題などあると思いますし、また以前より問題意識が出てきたということで、発達障害の傾向があるお子さんたちの存在が出て来てると思います。

 

世田谷区では全国でもかなり早い時期に、国立成育医療研究センターの敷地の中にげんきという、診療と療育の施設を造りました。今そこの施設に診断してほしいって来られる方が多くてかなり立て込んでるような状態ですけれども、児童館とかに出張して、診ますよみたいな機会も広げて、まずは早い段階で診ていただくということをおすすめしています。

世田谷区では療育制度の整備は追いついていますか?

保坂:
まず就学前のお子さんたちと学校に通っているお子さんたちに分けられると思いますけれども、ニーズのほうが広がっているのでそのニーズをなかなか十分に受け止めきれてはないとは思います。いろいろな民間の機関や企業やNPOなどが発達障害を抱えてるお子さんのための療育のスペースやサービスを提供、これ広がっていますけれども、学校生活もあります。ただ、学校を出てからもこの問題っていうのはなくならないわけで、世田谷区ではこれも全国に先駆けて、砧公園と環状8号線ちょうどはさんでその発達障害を抱えている大人のための就労支援センター、実際には高校生以上の若者たちがあるいは30代の人たちが集まってきて、さまざまなプログラムを受ける。これも始まっています。ですから取り組む姿勢は強くあって、ただ、あらゆる世代にまたがって取り組めてるかっていうとまだ途上だということですね。

教育現場において今後どんな支援が必要だと思われますか?

保坂:
今年、2016年4月1日から障害者差別解消法っていう法律が施行されたんですね。この法律によれば障害があるなしということに関わらず誰もが尊厳を持って扱われる。誰もがチャンスがある。そういう社会を行政自らもつくっていかなければいけないっていう法律なんですね。ですから今おっしゃった学校の中で現状どうかと言えば大きくでも学校の仕組みも変わり始めているんですね。例えば特別支援学級。これまで三つの学校があるとすれば、そのうち一つに特別支援学級があって、他の二つからはそこに通うという形だったのが、原則それぞれの学校に特別支援学級を置き、学校の中で包括支援員っていうんですけれども、サポートに当たるんですね。これも全校に急いで配置するということをしました。ただ、学校に通ってくる障害のある生徒さん、生徒、児童が、数が一人二人とは限らないわけで、もう少し多い場合もある。そうするとまだまだ課題があるなあと思っていて、これは学生のボランティアの方なども働いていただいたりも実際にはしてるんですね。子どもたちが例えば区立の幼稚園だと、配慮を要するお子さんって呼んでいるんですが、例えば、発達障害なり知的障害があるそういう子お子さんに対して原則一人が介助っていう形でサポートしているんですね。それは非常に手厚い体制なんですが、学校に行くとお母さんやあるいはお父さんやあるいはその頼まれた方、親のほうが頼んだ方がサポートをしてきたという事実もあります。これからどういうふうに切り替えていけるかっていうのがテーマですね。

 

もう一つですね。発達障害どう考えるかっていうことについてお話したいんですけども、人間一人一人違うわけで全く同じようにですね、成長するわけではないわけですね。その子の一つの特性だというふうに思っていただいて必要以上に深刻になったり、あるいは親としていろいろ心配するっていう気持ちは分かるんですけれども、でもやっぱりその一人一人の個性だということである種自分のやりにくいこと、あるいは得意なことってありますよね、誰しも。やりにくいことについてよく分かっていれば、その子が受けなくていいストレスを受けるということが少なくなるんじゃないかと、本当はその子の特性なのに何でこのこと間違えちゃうのとか、どうしてこれ覚えないのとかあるいは、何で他の子はできるのにできないのとかっていうことをつい言ってしまいがちですけれども、早い段階でね、そういう発達障害なら発達障害の特性あるよというのを親子でつかんで子どもさん自身も、それ一つの個性なんだよ、ということでできないことに集中するのではなくて、やっぱりできること。素晴らしい力がある子もたくさんいるわけですから、そういうふうにちょっと大きく見るっていうか、ことが大事なのかなあと思っていますね。


日本だとですね、金八先生以来ですね、スーパーパワーを持っている先生のドラマとかが人気なんですね。そういう先生がいれば当たりだということですけれども、現実にはそんなわけにはなかなかいかないわけで、実はどんな素晴らしい先生だってやっぱり30人40人の子どもたち一人一人違うのに、全部分かって、的確に指導してっていうのは実は難しいんですね。このことに気づいてオランダの教育を見てきたんですけれども、オランダの学校では障害を持っている子ということで分けていくんでなくて、一つの教室の中で一人一人のお子さんが例えば国語であればしゃべる、それから読む、そして書く、ありますよね。それぞれのパーツにおいて学力がどの程度進歩しているのかっていうのは個人のカルテみたいなね、そういったものを記録を作っているんですね。それをクラス平均とそれと個人の伸びですね。これを比較しながらクラス平均がどんどんどんどん伸びていきながら子どもがなかなかこう上がっていかない。そこ支援が必要だよね、この子はっていうことで実はそのデータを見分ける専門の先生がいます。じゃあ少し遅れてるねっていう子に対して原則少人数一人対一人、一人対二人でその特別に支援をすると。つまり、そこですから科学的じゃないですか。どこが伸びてないんだっていうことがもう分かってるわけなんで、その分かってないことに関して伸ばすのは一斉授業じゃないですよね。だから個人の違いに着目して支援するっていう中身になっています。もう一つ驚いたのはクラス全体の伸びに対して、上のほうにいっちゃうという。まあできすぎる子に関しても支援が必要だっていう考え方がありましたね。つまり、平均的な教材じゃ面白くないでしょう君はと、もうこんなレベルのちょっと高い問題解いてみないかっていうことで伸ばす子は伸ばすと。そこが日本の教育、振り返ってみるとやっぱり一斉にさあ教科書開いて、この問題をやって、っていうことでやってますから、そこんところは一人一人に即してっていうことは本当は教育全体がそうなることが理想ですけども、とりわけ障害を抱えている子、中でもその発達障害を抱えている子はもう本当に一人一人違うと思いますね。いわばどこができる、できない、ものすごい人より飛び抜けたですね、才能を持ってる子。そのバランスが一見うまくないんだけれども、そのことをうまくコントロールしてあげればいろんな社会に出て行く道があるよっていう、そういう子どもたちに関してはとりわけ一人一人への支援というのが大事な視点になると思います。

 

世田谷区でも、特別支援教育に関しては一人一人の違いに即して支援の手が伸びていくような教育体制をどういうふうにつくろうかと、これは実はお金の問題、先生の数の問題それから仕組みの問題ですね、そういう一人一人の発達の度合いに関してオランダのようにデータ化されてしっかり見て行くという所まで、そういう仕組みではありませんから日本の学校はね。そこを一応、受験産業という産業があって、学習塾などがそういったデータを出しながら進路を決めるに当たって参考の資料を出しているというのはあるとは思うんですが、ただそれはあくまでも受験のためであって、例えば、自分が抱えている障害であったりとかあるいは理解しにくいところをじゃあどういうふうにケアしてもらうかっていう、そのデータとはちょっと違うのでそういう意味でぜひ勘とか、この辺りじゃないかっていうことだけじゃなくて、データ的根拠を持った支援が必要だなあと思いますね。

社会の一員である私達にできることはありますか?

保坂:
2016年の4月1日が障害者差別解消法の施工の日だったんですね。翌日の2日が世界自閉症啓発デーだったんですね。ブルーにライトアップしようっていうキャンペーンを、東ちづるさん代表の『Get in touch』です。そういったグループがちょうど準備したいということだったんで、世田谷区役所で4月1日に障害者サービス解消法意味する黄色い風船と、世界自閉症啓発デーのブルーの青い風船と両方をね、障害を持っている人たちもさまざまな車椅子で来た方とか目の見えない方とか、耳の悪い方も含めて、知的障害ある方やさまざまな発達障害抱えている子たちも、そして世田谷の職員も一緒になって300人ぐらいですかね、セレモニーをやって風船を飛ばしました。そういうことは単なるセレモニーですけれども、実はそのセレモニーはすぐ終わってしまうんですが、そういう社会になればいいなっていう思いを行政としても発信していきたいと思いますし、できるだけ孤立感を感じるような地域ではなくしていく。特にやっぱり同じように悩みを抱えているお母さん同士、お父さん同士が知り合ったりですね、お子さん同士がつながったりとか。そういう場を区内でもですね、知的障害の子たちの放課後の場、そして今度は大人になった若者たちの、集いの場いうのも応援してるんですね。さまざまなそういった個性を持った子どもたち若者たちが自然と集まれて一人じゃないよということが確認できる。そういう地域の中にさまざまな試みや挑戦があると、そのことを区民も知ることができると、そういった自治体にしていきたいなと思いますね。

スタジオそら事務局

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