
子どもの発達障害を早期発見するためのチェックポイント
2025.03.10日常生活で特徴的な行動がみられたり、困っていることが解消されなかったりする際には、子育てや子どもの性格の問題ではなく、背景に発達の課題を抱えているかもしれません。発達障害のある子どもの早期発見には、1歳6ヶ月児健診、3歳児健診、5歳児健診などの乳幼児健康診査が手がかりとなる場合があります。また、園や学校などの集団生活を過ごすようになってから、気になる行動が顕著になる場合もあります。
今回は、子どもの発達障害を早期発見するためのチェックポイント(子どもの気になるサイン)をご紹介します。
子どもの気になるサイン(田中,2014)
・泣かない/ほほえまない
・人と目を合わせない/名前を呼んでも振り向かない
・言葉が遅い/発語が喃語ではない
・指さしをして注意をひかない/言葉で気持ちを伝えない
・音や肌にふれるものに敏感/手をつなぐ、抱きしめられるのを嫌がる
・偏食が強い/味やにおいに敏感
・親から離れてしまう/迷子になっても平気
・ひとりで遊ぶことが多い/友達の輪に入らない
・同年齢の友達ができない/人付き合いがうまくいかない
・独特の話し方をする/おしゃべりが止まらない
・こだわりや特定のものへの執着がみられる
・一度に複数のことをするのが苦手
・行事に参加できない/集団行動や共同作業ができない
・変化を楽しめない/変化についていけない
・気持ちがうまく切り替えられない
・同じ手の動きを繰り返す/手のひらをヒラヒラさせる
・言葉や会話の含みがわからない/冗談が通じない
・空気が読めない/人の表情が読めない
・寝付きが悪い/すぐ目が覚める
・前触れなく怒る/その場にふさぎこむ
・表現が直接的/あいまいな表現が苦手
・昔のことを昨日のことのように話す/終わりがわかりにくい
・パニックを起こす
・姿勢の崩れがみられる
・嫌がったり、不安になったりすることが多い
・ルールを守れない/順番を待つことが苦手
・すぐ行動してしまう/事故にあいやすい
・忘れっぽい/細かなところに注意が向かない
・集中できない/じっとしていられない
・反抗的な態度をとる/悲観的な感情を抱きやすい
・他の子を突き飛ばす/たたく、ける/特定の子どもを泣かす
・文章を読み間違う/誤った文字を書く
・話をきくことが苦手/話すことが苦手
・計算や図形の理解、推論することが苦手
・手先が不器用/指先の力が強すぎたり、弱すぎたりする
・全身運動が苦手/自分の身体がわかりにくい
これらの項目に当てはまったからといって必ずしも、発達障害の特性を持っているとは限りません。
幼い頃には、集中し続けることが難しかったり、落ち着きがなかったりすることが多いため、気になるサインが見過ごされてしまうこともあります。しかし、「どうしてこの行動をするのだろう」と疑問に思ったり、日常生活で困る行動が続いた場合には、児童精神科や小児精神科、子どもの発達に詳しいクリニックなどに相談してみましょう。専門機関では、診察を受けるのに時間がかかることもあるため、地域にある子育て支援センターや発達支援センターなどに相談してみることもおすすめです。
子どもに気になるサインが現れた場合には、その子どものペースで日常生活や社会生活の技能、運動、学習などのスキルを身につけていくための発達支援を検討できると良いでしょう。
発達支援が受けられる施設として、「児童発達支援/放課後等デイサービス」があります。「児童発達支援/放課後等デイサービス」とは、厚生労働省が示すガイドラインに基づき、子どもが必要としている生活スキルや学習スキルなどの課題に取り組む環境を提供する、障害児通所支援事業所です。
今回は、子どもの発達障害の早期発見のサインについて紹介しました。子どもが困ったときに出しているサインが、「変わっている子ども」として周りに捉えられてしまっているかもしれません。また、子ども自身が「自分だけできない」「他の子と違う」など、違和感を感じているかもしれません。早期発見をすることで、その後の支援につながり、困りごとを解消できる場合もあるでしょう。
<引用・参考文献>
田中康雄 (2014) 「発達障害の子どもの心と行動がわかる本」 西東社