発達検査とは?種類と内容、受けられる場所、新版K式発達検査についても解説
2025.09.08- 発達検査とは(定義、目的、検査方法)
- 発達検査と知能検査の違い
- 発達検査の種類
- 新版K式発達検査の内容(検査方法、領域、評価方法、注意点)
- 発達検査を受けられる場所
- 発達検査の報告書
発達検査とは
【定義・目的】
発達検査とは、運動、認知、言語、社会的行動など、生活にかかわる様々な能力について、発達の程度を把握するための検査です。子どもを対象としたものだけではなく、成人を対象とした検査もあります。
さまざまな能力の得意なところ、苦手なところを把握することによって、家庭や学校、職場、療育などのさまざまな場面に活用することを目的として実施されます。
【検査方法】
発達検査には、子ども自身に対して直接検査を実施するものと、保護者などの子どもの様子をよく知る養育者や、園や学校の先生がアンケートなどに回答していくものがあります。アンケートの場合も、検査者が子どもの様子を実際に見て、アンケートに回答する人と話し合いながら、回答を確認していく方法がとられることもあります。
発達検査と知能検査の違い
発達検査とあわせて、知能検査が実施されることもあります(知能検査については、https://studiosora.jp/column/1132/ をご参照ください)。発達検査と知能検査は、いずれも能力を数値化することや診断をつけることが目的ではありません。検査を構成するうえで算出された一般的なデータと比較することによって、対象となるお子さんの得意な能力や苦手な能力を把握し、よりよい支援に活かすことが共通の目的です。
その一方で、発達検査と知能検査では「何を調べるか」という点が異なります。知能検査は、言葉を理解する、情報を処理するなど、特に「認知能力」に焦点をあてた検査です。IQ(知能指数)などを算出し、知的能力の発達の程度を明らかにすることができます。それに対して発達検査は、知能検査と一部重なる認知面も含めながら、運動、言語、社会的行動など、生活にかかわるさまざまな発達の側面について明らかにします。
また、検査にもよりますが、対象年齢にも違いがあります。知能検査は、検査者が課題を提示し、動作や言葉を用いてお子さんが回答することにより、知能を測定します。よく用いられる知能検査として挙げられる田中ビネー知能検査は2歳~成人を対象としています。ウェクスラー式の知能検査であるWPPSIは、2歳6ヶ月~7歳3ヶ月が対象、WISCは5歳~16歳11ヶ月を対象としています。それに対して発達検査は、子どもの行動を観察して評価する項目も含まれており、0歳を含む低年齢のお子さんも対象とした検査が多いことが特徴です。
以上のような特徴をまとめると、表1のようになります。
知能検査と発達検査、どの検査を実施するかは、お子さんの年齢や状況、どのような側面に焦点を当てて子どもの得意や不得意を明らかにしたいのか、といった目的などを考慮して、判断をしていきます。また、検査機関によって、実施可能な検査が異なる場合もあります。
発達検査の種類
お子さんの発達の遅れが気になる場合は、発達検査を受けてみるのも一つの方法です。主な発達検査として、以下のようなものが挙げられます。
<新版K式発達検査>
・測定するもの:姿勢ー運動、認知ー適応、言語ー社会
・検査方法:個別検査
・対象年齢:0歳~成人
<遠城寺式乳幼児分析的発達検査法>
・測定するもの:運動(移動運動・手の運動)、社会性(基本的習慣・対人関係)、理解・言語(発語・言語理解)
・検査方法:個別検査、養育者への質問
・対象年齢:0歳~4歳8ヶ月
<津守・稲毛式乳幼児精神発達検査>
・測定するもの:運動、探索、社会、生活、言語
・検査方法:養育者や園の担任への質問
・対象年齢:0歳~7歳
<デンバー発達判定法(DENVERⅡ)>
・測定するもの:個人ー社会、微細運動ー適応、言語、粗大運動
・検査方法:個別検査、養育者への質問
・対象年齢:0~6歳
<日本版Bayley-(ベイリー)Ⅲ 乳幼児発達検査>
・測定するもの:認知、言語(表出言語・受容言語)、運動(粗大運動・微細運動)→子どもへの検査
社会ー情動質問紙、適応行動尺度→養育者が質問紙で回答
・検査方法:個別検査、養育者の質問紙回答
・対象年齢:生後16日~42ヶ月15日(3歳6ヶ月15日)
<KIDS乳幼児発達スケール>
・測定するもの:運動、操作、理解言語、表出言語、概念、対子ども社会性、対成人社会性、しつけ、食事
・検査方法:検査者が養育者に聴取する、養育者に直接記入してもらう、お子さんが通っている園等の担任が記入をするの3通り
・対象年齢:0歳1ヶ月~6歳11ヶ月
主な発達検査を表にまとめると以下のようになります。
それぞれの検査はいくつかのカテゴリーに分かれており、お子さんの心身の発達状況や状態を客観的に把握するために実施されます。医療機関や施設によって、受けることのできる検査の種類は異なる場合があります。どのような検査を受けるとよいのかは、お子さんの年齢や状況、どのような側面の得意なこと、不得意なことを確認することがよりよい支援につながるのか、といったことを考慮して、判断をする必要があります。まずは、検査機関にご相談してみることがよいでしょう。
※WISC−Ⅳ・Ⅴ、WAIS−Ⅳ、田中ビネー知能検査Ⅴなどは、発達検査ではなく「知能検査」に分類されます。知能検査については、こちらの記事をご参照ください(https://studiosora.jp/column/1132/)。
新版K式発達検査の内容
ここでは発達検査としてよく活用されている「新版K式発達検査」についてご紹介します。新版K式発達検査は、日本で開発された発達検査です。これまで何度かの改定が重ねられ、最新版は「新版K式発達検査2020」となっており、1つ前の版である「新版K式発達検査2001」から、検査を受けられる施設ごとに順次移行が進められている状況です。乳幼児健康診査での発達面の検査や、特別支援教育の対象となる子どもの状態把握、児童相談所などでの療育手帳の判定など、さまざまな目的で幅広く活用されています。
【概要】
新版K式発達検査は、検査者と検査を受ける方の1対1で実施されます。お子さんが低年齢の場合など、状況に応じて、保護者が同席する場合もあります。適応年齢は、0歳~成人までとされています。個人差はありますが、実施時間は、15〜60分程度です。
検査では、子どもの行動や反応を同年齢と比較し、発達の度合いが実際の年齢とどのくらい差があるかを評価していきます。日常生活場面において観察される遊びや様子をもとに検査項目が設定されており、お子さんの日常生活に近い行動を観察しやすいことが特徴です。
【評価する領域】
評価する領域は、以下の3領域です。
・「姿勢ー運動」(P-M):身体機能の発達
・「認知ー適応」(C-A):ものの認知や操作の発達
・「言語ー社会」(L-S):言語を用いた認知や操作の発達・社会的能力の発達
歩くなどの粗大運動や手を使った作業などの微細運動から評価する能力もあるため、言葉での理解や応答、読み、書き、計算などの能力を駆使した検査が年齢的に難しい乳児期や幼児期の子どもに対しても、検査を実施することができます。
【評価方法】
対人関係や日常生活の発達の基準を数値化した「発達指数」と、お子さんの現段階の発達がどのくらいの年齢に相当するかを示す「発達年齢」を数値として算出します。「発達指数」「発達年齢」ともに、先ほどの3領域「姿勢ー運動」「認知ー適応」「言語ー社会」の3つの領域と全領域を合わせた数値をそれぞれ算出することができます。
3ヶ月未満のお子さんの場合は、新生児反射(原始反射)と呼ばれる反射的に起こる特有の行動と、お子さんが自ら考えて身体を動かした行動の区別が難しい場合があるため、発達年齢の算出はせず、結果は参考にとどめることになっています。
なお、3歳以上では「認知ー適応」面、「言語ー社会」面に重点が置かれて、評価されます。
ここまでの内容をまとめると、以下の表のようになります。
【検査を受ける際の注意点】
新版K式発達検査は、経過を観察するために、複数回検査を受けることが望ましいとされています。しかし、一度受けた後、すぐに再度受けられるというわけではなく、一定期間間隔をあける必要があります。目安として、1歳未満は1ヶ月以上、1歳~3歳未満は3ヶ月以上、3歳~6歳未満は6ヶ月以上、学齢期以降は1年~2年以上あけることが望ましいとされています。検査機関やお子さんの様子により、あける必要のある間隔は異なる場合がありますので、検査機関で相談をしてみてください。
発達検査を受けられる場所
発達検査は、医療機関(小児科、児童精神科、発達外来など)、発達障害者支援センター、児童相談所、保健センター、福祉センターなどで受けることができます。また、市区町村が実施する法定健診(1歳半健診、3歳児健診)でも、発達検査が行われる場合もあります。機関によっては、かかる費用の有無、受けられる検査の種類、予約の取りやすさや待つ期間などが異なります。
検査の報告書
知能検査同様、発達検査を受けた後に、検査報告を受けたり、検査報告書を受け取ったりすることが可能です。検査によって評価の方法が異なるので、検査報告から具体的な見通しや接し方など、今後の支援の見通しとして考えられそうなことを知ることができます。しかし、検査報告書は、検査を受けた機関によって書式や書き方が異なることがあります。結果の解釈が難しいと思われる場合には、検査者からの説明を依頼してみましょう。機関によっては、検査報告を実施しているところもあります。
検査結果は必ずしも子どものすべての得意や不得意がわかるものではなく、今後の支援のための参考として活用されます。
検査報告書を発行する時には、その機関によっては発行手数料がかかる場合もあります。検査報告書が必要な場合は、受診する機関への問い合わせを行い、手数料の有無を確認してください。
<引用・参考文献>
川畑隆・伏見真里子・笹川宏樹・梁川惠・衣斐哲臣・菅野道英・宮井研治・大谷多加志・井口絹世・長嶋宏美(2013)発達相談と新版K式発達検査 子ども・家族支援に役立つ知恵と工夫 明石書店.
洲鎌盛一(2013)乳幼児の発達障害診療マニュアル 健診の診かた・発達の促し方 医学書院.
辻井正次(監修)明翫光宣(編集代表)松本かおり・染木史緒・伊藤大幸(編)(2014)発達障害児者支援とアセスメントのガイドライン 金子書房.
渡辺弥生(監修)(2021)完全カラー図解 よくわかる発達心理学 ナツメ社.





