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子どもがかんしゃくを起こす理由と、気持の切り替え・タイムアウト法などの対応方法について解説します。

子どもがかんしゃくを起こす理由と、気持ちの切り替え・タイムアウト法などの対応方法について解説します。

2019.12.09

子どもの年齢が2歳から3歳ぐらいになると、自分の欲求などを言葉で表現できるようになり始める一方で、理路整然とした表現ができなかったり、自分の状態を適切に説明できなかったりするために、大人からみるとわがままを言っているようにみえる「イヤイヤ期」と言われるような状態が、ほとんどの子どもに観察されるようになるでしょう。

 

ときには、自分のことを叩くなどの自傷行為や、物を投げる、物に当たる、物を壊すなどの「かんしゃく」が見られるかもしれません。そのような子どものかんしゃくと対処法について、整理をしてみようと思います。

 

かんしゃくの原因は?

かんしゃくの原因はさまざまであり、一概には言えませんが、おおよそ以下の3つが想定されることが多いです。

 

①自分のやりたいことが思うようにできない。

子どもはまだまだ身体機能が未発達です。周りの人がやっていることを真似したいけど、うまく身体を動かすことができない・・・ということもあるでしょう。そのような場面では、イライラがつのり、かんしゃくを起こしてしまう場合があります。

 

②自分の気持ちをうまく伝えられない

感情には、嬉しい、楽しい、幸せ、イライラ、もやもや、憂鬱、無気力など様々あり、表現も多様です。しかしながら、このような感情は目で見て理解できる具体物ではなく、抽象的な概念なので、子どもは自分の気持ちを十分に伝えられない場合が少なくありません。小学校中学年ぐらいになると、このような抽象概念も理解できるようになるといわれていますが、感情表現に限らず、自分の伝えたいことをうまく表現できないと、かんしゃくを起こしてしまうことに繋がります。

 

③怒りの対処方法をまだ身につけていない

怒りやイライラ、もやもやの感情をうまく表現できないことに加え、対処法もまだまだ獲得できていないのが、イヤイヤ期の子どもたちです。そのイライラなどの感情を発散させるために、かんしゃくを起こして表現していると考えられるでしょう。

 

その他、睡眠不足や運動不足、栄養不足などの生活習慣も影響すると考えられます。しっかりと眠ることができているか、食事が偏りすぎていないかなどを振り返ってみることも良いでしょう。

 

かんしゃくへの対応

それぞれの原因にあわせて、対応方法について考えてみましょう。

 

⓵自分のやりたいことが思うようにできない場合の対応方法

自分のやりたいことが思うようにできない場合には、身体を支えたり、声掛けをしたりしながら、補助をしてやりたいことができるようになるとよいでしょう。ただし、補助されることを嫌がったり、補助だけではやりたいことが達成できなかったりすることもあると思います。そのような場合には、お子さんの得意な活動や好きなお手伝いを提示して、達成感を得られるようにすることも有効です。

 

②自分の気持ちをうまく伝えられない場合の対応方法

自分の気持ちをうまく伝えられない場合には、感情を具体的に示してみましょう。たとえば、「にっこり」「悲しい」「怒り」の3つの表情の写真や絵などを提示して、「どんな気持ち?」と選ばせてみることもいいでしょう。感情の理解が徐々にできるように、かんしゃくを起こしている最中ではなく、落ち着いているときに、遊びの延長のようにして練習してみることが良いでしょう。

 

③怒りの対処方法をまだ身につけていない場合の対応方法

怒りへの対処法も、落ち着いているときに練習することがお勧めです。「気持ちの切り替え方法」ととらえて、いろいろと試してみることが良いでしょう。お茶を飲んだりすることが気持ちの切り替えになる場合もあれば、遊びに誘ってみることがいいこともあるかもしれません。お子さんによって、また同じ子どもでも場面や状況によって、どんな方法がいいかは異なる場合がありますので、対処方法をたくさん蓄積しておくのが良いでしょう。

 

叩く・蹴る・物に当たる時はタイムアウト法がおすすめ

かんしゃくへの対処法の例の1つに、「タイムアウト法」というものがあります。かんしゃくを起こしたときに、周りに物などの刺激の少ない場所に移動させて、落ち着くまで待つという方法です。物や周りの人を守りつつ、落ち着かせることが目的であり、「罰」を与えるわけではないので、「押し入れに入れる」のような、暗い場所や怖い場所に閉じ込めることは止めましょう。

 

タイムアウトをして、少しでも落ち着いたら、すかさず、「自分で落ち着けたね」などのほめる声掛けをしましょう。この、「おちついたらほめる」が重要なポイントです。このほめるが確保できないと、子どもは放置された、パパやママに嫌われた、と感じてしまう恐れがあります。

 

タイムアウト法は物を投げたり、物を壊したり、叩いたり、蹴ったりというような場合にお勧めです。かんしゃくをよく起こすような場合には、「落ち着く場所」として、家庭のなかでタイムアウトの場所を決めておくと良いでしょう。

 

まとめ

かんしゃく自体は、子どもにとっての自己表現の1つなので、決して悪いものではありません。今まで、泣いたり笑ったりしかできなかった自己表現の選択肢が増えた、成長のあかしであるととらえていただくと良いでしょう。したがって、かんしゃくに対して、保護者がイライラしすぎたり、厳しく叱ったりすることは逆効果です。自分の意思や感情を表出することを抑え込んでしまう子どもになってしまうことを避けるため、あまりかんしゃくに対して直面しすぎず、保護者自身も少し場所を移したり、時間を使って落ち着くまで待ったりすることも有効です。

 

 
 
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小関俊祐/発達障害療育研究所アドバイザー

桜美林大学心理・教育学系准教授。 日本認知・行動療法学会公認心理師対策委員及び倫理委員、一般社団法人公認心理師の会運営委員及び教育・特別支援部会長、日本ストレスマネジメント学会常任理事・事務局長を務める。 2019年より発達障害療育研究所・スタジオそら顧問として活動。

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