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特集

就学相談ってなに?①おおまかな内容と流れについて

2022.10.11

成長や発達、学習面での心配があるお子さんの就学先について、相談・決定していく場となる就学相談。就学相談の内容や流れ、就学相談を受けるメリットや事前準備について、2回にわたって詳しく解説をします。

 

この記事では、就学相談の内容や流れについて紹介します。

(就学相談を受けるメリットや事前準備については、11月更新の記事で記載予定です。)

 

 

就学相談ってなに?

年長さんの保護者の方から、就学相談について、いろんな声をお聞きすることがあります。

  • 就学相談をしたら、特別支援学級に行くように、決められてしまうのでは・・・
  • 特別支援学級は障がいのある子がいくところでうちの子は関係ないのでは・・・
  • 一度支援をうけたら、ずっと「特別な子」になってしまう
  • 診断は受けたけど、通常学級で学ばせたい!
  • そもそも、就学相談ってなに?

 

「就学相談」という言葉を聞いたことのある方でも、実際に体験してみないと何をするのかよくわからなかったり、体験した方のお話を聞いても、それぞれ違っていることも少なくなく、不安に感じたりすることもあるかもしれません。

 

就学相談とは、主に小学校に就学する前年度に、発達の気になるお子さんが、通常学級に在籍するのが適切なのか、通常学級に在籍して通級指導を受けるのが適切なのか、あるいは特別支援学級か、特別支援学校か、といったいくつかの選択肢の中から、お子さんにとってどこに在籍することがもっとも力を伸ばすことのできる選択となるのかを相談、協議する機会となります。就学相談では、現在通っている幼稚園や保育園などの先生の意見、地域の学校や療育機関の意見、公認心理師や医師、幼児や児童の発達や心理を専門とする大学教員などの意見を踏まえ、お子さん本人や保護者の希望を考慮した上で、最終的に就学先の判断がなされます。必ずしも小学校入学前だけではなく、小学校入学後も進級や中学校進学のタイミングで就学相談が行われる場合もあります。

 

就学相談での決定は変えられない?

就学相談を受けるのは、次年度就学を控えているすべてのお子さんではありません。それゆえに、就学相談を受けると通常学級には在籍できなくなると思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、それは誤解です。あくまで、就学相談の目的は、お子さんにとってもっとも適した教育環境の判断ですので、通常学級が適している、と判断されることも当然ながらあります。

 

また、一度決まった判断は、小学校の6年間変わらない、と思われるかもしれませんが、これも誤解です。特に近年は、インクルーシブ教育の推進から、就学相談のプロセスや制度の見直しも行われており、お子さんの発達の程度や適応の状況、学校の様子などを考慮しながら、たとえば特別支援学級から通常学級への転籍なども比較的柔軟に行われるようになってきました。ただし、インクルーシブ教育も推進の過渡期ということもあり、地域によっては転籍が困難であることも少なくありませんし、特に年度内の転籍は困難な場合が多いので、就学相談の機会に十分に話し合うことが重要です。

 

就学相談のおおよその流れ

就学相談のおおよその流れが以下の図になります。ただし、お子さんの年齢や自治体によって異なる部分がありますので、あくまで参考としてご覧ください。就学相談説明会を開催せず、幼稚園や保育園などの先生から情報提供をしていただいたり、市の広報紙やWebサイト、幼稚園や保育園の掲示などから情報収集したりする場合もあります。

図は、おおよそ未就学のお子さんの場合として作成しています。図にあるとおり、継続的な家庭内での話し合いは不可欠となります。

 

 

ここまで、就学相談についてと、そのおおよその流れについて紹介しました。就学相談について、イメージ通りだった部分も、イメージとは異なる部分もあったかもしれません。次回は、就学相談のメリットや、就学相談に臨む際の準備について紹介します。

 

 

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小関俊祐/発達障害療育研究所アドバイザー

桜美林大学心理・教育学系准教授。 日本認知・行動療法学会公認心理師対策委員及び倫理委員、一般社団法人公認心理師の会運営委員及び教育・特別支援部会長、日本ストレスマネジメント学会常任理事・事務局長を務める。 2019年より発達障害療育研究所・スタジオそら顧問として活動。

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