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発達障害関連の映画を紹介

映画で啓蒙、アメリカ自閉症協会“AutFest”

2017.07.10

アメリカ自閉症協会(Autism Society of America,ASA)は、最も歴史があり、最も大規模な自閉症の草の根運動組織ですが、今年の4月22・23日にアメリカのカリフォルニア州オレンジ郡で第1回のフィルム・フェスティバル(その名も自閉症“Autism”と、映画“Film”と、祭り“Festival”を足して“AutFest”)を開催しました。今回のフィルム・フェスティバルの目標は、自閉症当事者の人生をより豊かにすることと、自閉症に対する社会的な理解を深めるとともに自閉症当事者の一人ひとりを尊重することの大切さを広めることです。

 

フィルム・フェスティバルには自閉症の映画監督による作品や、自閉症の啓蒙に貢献する映画がエントリーされています。今年の4月に日本でも公開された『ぼくと魔法の言葉たち』も上映されましたが、今回はベスト・フィルムに選ばれた『Po』を紹介したいと思います。妻をがんで失った父親が、10歳になる自閉症の息子であるパトリック(“Po”と呼ばれることを好む)を育てていく、実話に基づく長編映画です。

 

妻、母親を失った後、父親も“Po”もそれぞれ苦しみ、自分の感情を上手く表現できない“Po”は父親との溝を深めていきます。“Po”は学校での虐めもあり不登校になり、自分で作りあげたファンタジーな世界にのめり込みます。父親と“Po”の亀裂は深くなり、息子の養育権が危ぶまれる状況に父親は追い込まれていきます…。

 

この映画の監督でもあるジョン・アッシャー、音楽を手掛けたバード・バカラック、脚本家のコリン・ゴールドマン、父親役のクリストファー・ゴーラムも自閉症の子どもを持つ父親です。脚本家によると、自閉症の子どもの日常を描きたかったそうです。日本での公開を楽しみにしたいと思います。

発達障害療育研究所

スタジオそらに所属する言語学博士、言語聴覚士、臨床心理士など、様々な分野の専門家が集まる研究所です。発達障害を中心に、関連の情報を分かりやすく解説します。

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