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特集
発達障害の子どもの心と行動がわかる本の紹介

発達障害について学ぶ入門書、「発達障害の子どもの心と行動がわかる本」

2020.11.09

 わが子の発達が気になる、発達障害の可能性を指摘された保護者さんは、不安な気持ちと、どのように関わればいいのか、何に配慮すべきなのか、子育てに悩み、迷う方がほとんどかと思います。

 

また、子どもと関わる機会がある方は、他の子どもと同じ行動ができない、上手くコミュニケーションがとれないなどの発達が気になるお子さんに出会うこともあるかもしれません。

 

 スタジオそらでは、発達障害の子どもにはどのような特性があり、どのような関わりをするとうまくいきやすいのかなど、発達障害について学びたい方へは「発達障害の子どもの心と行動がわかる本」(西東社/田中康雄・監修)を紹介しています。

 

内容の一部を抜粋しながらご紹介させていただきます。

 

発達障害は「生活障害」であるという捉え方

“「発達障害とは、個々の発達の歩みのなかで、生活に困難をきたす場合に名づけられるものです。その意味で、私は、「生活障害」というほうが的確だと思っています。(中略)必要なことは、治療というよりも、「生活環境の調整や工夫」あるいは「日々の生活を応援し続けること」だと思うのです。そのためには、個々の発達の歩みと特性をできるだけ理解することが大切です。”

 

個性の延長線上にある「発達障害」

 1章では「発達障害とは?」というテーマで、発達障害の考え方や特性の現れ方について触れられています。

 

“活発な子、人見知りをする子、物おじしない子、引っ込み思案の子、せっかちな子、マイペースな子・・・。ひと口に「子ども」と言っても、いろいろなタイプの子どもがいます。”

 

“個性という視点から考えると、発達障害の特性をもつ子どもたちは、その個性がひときわ大きいといえるでしょう。そのため、その子の性格や行動を理解して寄り添うには、より多くの工夫と支援が必要となります。”

 

“このような、個性がひときわ大きくて、簡単にはわかりあえない部分があるために、細やかな工夫や支援を必要とする子どもの個性的な特性を、医学的にグループ分けして、できるだけわかりやすい「個性」として説明しようとしたのが「発達障害」という名称といってもよいでしょう。”

 

 例えば、発達障害の特性の一部として紹介されることがある「忘れ物が多い」「片付けが苦手」「気持ちがうまく切り替えられない」「すぐにカッとなってしまう」「ケアレスミスが多い」などの項目は、「私も当てはまるかも」というものもあるのではないでしょうか。

 

その特性により、本人も、周りの人も困っていないのだとすると、それは発達障害として診断されるものではありません。

 

また、特性のあらわれ方については下記のように述べられています。

 

“発達障害の特性のあらわれ方は十人十色です。(中略)ひとつの発達障害の特性は、ほかの発達障害の特性とも重なりあっていますし、もっといえば「ふつう」の子どもの個性とも重なりあい、連続しています。そのため、同じ障害名であっても特性のあらわれ方は異なり、特性の強さも人それぞれ違います。”

 

子どもの行動を理解するためのステップ

 子どもの特性や気になる行動、特に子ども自身が苦しむことや周囲が困る行動というのは、減らしていきたいものです。

 

そのためにはその行動が起こった理由について分析し、その上で環境や指示の出し方を変えたり、正しい行動について学ぶ機会を持ったり、子どもに合う方法を見つけることが大切です。

 

“発達障害に限らず、子どもは言葉を使って自分の気持ちを伝えることが上手ではありません(中略)気になる言動の背景には、その子なりの理由や意味がきっとあるはずですから、完全に理解することはできなくても、「もしかしたら、こうした要因から怒っているのではないか」と、仮にでも理解することが、お子さんの気持ちに近づくことになります。”

 

子どもを理解する道しるべとして、以下の4ステップが書かれていました。

 

“「子どもを理解する道しるべ」

①気づき:

例えば授業になかなか集中できない子どもがいる。

 

②仮の理解:

その子がその場面をどのように認識しているのかを想像してみる。教室が騒がしかったのかも?教室の外に興味を誘うものがあったのかも?不安なことがあったのかも?

など

 

③仮説:

「仮の理解」をもっとも確からしい「仮説」に磨き上げる。

 

④対応:

仮説に沿って配慮や支援などの対応をする”

 

子どもを理解するための気になるサイン

 まずは子どもの様子に気づくところから、子どもの理解は始まります。

その際に参考にしたい子どもの様子・気になるサインも紹介されていました。

 

“気になるサイン:

「言葉が遅い/初語がなん語ではない」

子どもは周囲の人とコミュニケーションをとりたいという思いから、言葉を覚え、自分からも言葉を発していきます。しかし、発達障害の特性をもつ子どものなかには、周囲に対する興味や関心、共感する気持ちが乏しく、なかなか自分から言葉を話さない子どもがいます。言葉(単語)はたくさん知っているし、相手の話も理解しているように見えるけれど会話にならなかったり、その場の状況にあわないことを一方的に話し続けたりすることもあります。また、相手の話の内容がわからないときは、例えば、お母さんが「走るとあぶないわよ」と話すと、「走るとあぶないわよ」とそのまま繰り返す「エコラリア」がみられこともあります。初語がなん語ではなく、いきなり固有名詞だったり、一度話しはじめたけれど、ある時期から話さなくなったりすることがあります。”

 

その他、32種類の気になるサインについて詳しく紹介されていました。

 

発達障害の診断が受け入れられないとき

 気になるサインから児童精神科やクリニックなどを受診することも多いかと思います。

その際に、診断名がつく場合もありますが、診断はその子の生きづらさを知る最初の一歩であることを踏まえ、診断名が受け入れられないときは無理に受け止める必要はないと述べています。

 

“親御さんは、お子さんにどんな心配な面があっても、心のどこかでは、「障害であってほしくない」という思いをおもちだと思います。(中略)診断名は、あくまでその子の一部分で、すべてではありません。診断名が受け入れられないときは、無理に受けとめる必要はありません。大切なのは、この子には特性があり、そのことがわかるとかかわりたすくなるかもしれない、ということです。(中略)診断をきっかけに、お子さんの生きづらさに気づいたり、気がかりな言動の背景を知ったりするきっかけになれば、最初の一歩になるはずです。”

 

スタジオそらに通い始めるお子さんに対応するスタッフも、診断名があるとある程度特性の予測がつくため事前準備をしてお迎えしますが、診断だけの情報でお子さんに関わることはありません。診断名だけでは分からないお子さんの良い面、困りごとがたくさんありますから、お子さんとしっかり向き合って、その子に合った支援や関わり方をするようにしています。

 

また、診断名がつくプラスの面として、

“子どもは、自分の気持ちを説明することが上手ではありません。(中略)持っている特性によっては、学校など家の外で、生活しにくいことがあるかもしれません。

診断名がつくことは、「子どもをいたずらに追い詰めない」といったプラスの面があります。診断名がつくことで、その子のつまずきや生きづらさが、本人の努力不足やなまけ、あるいは親御さんの育て方のせいではなく、「その子の脳の特性である」という理解につながります。いままで気がかりだった言動や育てにくさといったことにもある程度の説明がつきます。”

と述べられています。

 

自閉スペクトラム症、ADHD、LDについてのそれぞれの理解

 ここまで、それぞれの障害の特性ではなく、発達障害の可能性に気が付くまで、そして発達障害の子どもと関わる際の心構えについて、詳細に触れられていました。約70ページに渡って発達障害の捉え方について述べられていましたが、それだけ発達障害はイメージ・知識の偏り、分かりにくく誤解を受けやすいものだということが分かります。

 

 3章~5章では、代表的な発達障害である自閉スペクトラム症、ADHD、LDの3つについて、特性、診断のつけ方、かかわり方のポイントが記載されています。

 

(このコラムで内容の紹介はしませんが、気になる方はそら通信も合わせてご確認ください。

 

・自閉スペクトラム症とは?医学的側面から解説します。 https://studiosora.jp/column/520/

・注意欠如/多動性障害(ADHD)とは?原因、症状、支援などを解説。 https://studiosora.jp/column/599/ 

 

・学習障害(限局性学習障害,LD)とは?症状、支援方法を解説します。 https://studiosora.jp/column/697/ )

 

発達障害のある子への支援とアプローチ

 代表的な支援・アプローチとして、TEACCH、感覚統合療法、ABA、インリアルアプローチ、PECS、そして薬の使用についてなど、具体的な方法と注意点など詳細に記載されています。

 

(このコラムで内容の紹介はしませんが、気になる方はそら通信も合わせてご確認ください。

・ABA(応用行動分析)とは?「どんなときに、何をしたら、どうなった」に着目する子どもの理解と支援 https://studiosora.jp/column/1539/)

 

また、家庭での支援方法についても様々な方法が記載されていました。その一部は、スタジオそらでも行っている内容でしたので、抜粋し紹介します。

 

“発達障害の特性をもつ子どものなかには、長い会話の理解が苦手な子どもがいます。注意の切り替えも苦手な場合は、話しかけた最初の言葉を聞きのがしてしまうことがあります。

(中略)声をかけるときは、「これから話します」と子どもの注意を自分に向けてから、指示する内容をひとつに絞り(中略)指示しましょう。”

 

スタジオそらの療育の様子をみていても、これらの手法はよく実践されています。注意の切り替えが苦手だったり、聞きのがしやすいお子さんには、「~~くん」「先生の方見て」「先生、お話しするよ」などの声をかけ、子どもの目線がこちらに向いたことを確認してから指示を出し、子どもの発達状況によって指示内容も1つだけ、2つまでなど微調整をしながらプログラムを展開します。

 

そうすることで、子どもも聞きのがしが減り、成功体験を積み重ねられるように心がけています。

 

“発達障害の特性をもつ子どもは、時間の経過を感覚的に実感することが苦手なため、「着替える」「顔を洗う」「朝ごはんを食べる」「歯をみがく」「トイレに行く」「出かける」といったことを頭の中で順序立てて、それに沿って行動することがうまくできないことがあります。また、時間は目に見えないため、(中略)今行っている活動が永遠に続くように感じられて不安になることもあります。そこで、絵や写真を使った予定表、いわば生活の台本を作り、「次に何をすればいいのか」がみてわかるようにします。そうすることで、先の見通しが立ちやすくなり、安心して行動することができるようになります。”

 

スタジオそらでは活動の最初にスケジュールを提示することがほとんどです。子どもの発達状況によってその内容は様々ですが、文字が読めたり興味がある子どもには文字をつかったスケジュール表、文字の理解が難しい子どもには絵カードや写真カードを並べたスケジュール表を使用します。

 

絵カードを使用しても上手く子どもに理解されない場合、絵と活動、絵と物の認識がマッチしていないことがあるため、写真カードに切り替えたりして微調整をしていきます。

 

子どもに合った支援やサポートを

わが子の発達が気になったとき、いくら保護者だとしてもどのようにサポートしていけばいいのか悩むものです。

 

自分なりに子どもに合う方法を探して実践しても、上手くいかないこともあると思います。

 

そんなとき、この書籍を活用して「この方法を試したらうまくいくかもしれない」と仮説をたて、支援のバリエーションを増やして実践をしてみてはいかがでしょうか。

 

イラスト図解 発達障害の子どもの心と行動がわかる本

https://www.seitosha.co.jp/book/isbn-9784791619474.html

田中康雄/監修

出版社:西東社

 

 

スタジオそら事務局

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