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特集

療育をすすめられたら?②児童発達支援事業所を選ぶポイントまとめ

2021.10.11

 幼稚園や保育園、健診、医療機関などで療育をすすめられた際、最初に保護者がぶつかる壁はどのように探せばいいのか、どのようなポイントで療育先を選べばいいのかという疑問ではないでしょうか。子どもや家庭の状況は様々で、子どもに合った施設を探したいと思っていても、専門用語も多く困ってしまう保護者は少なくありません。

 

お子さまが未就学児の場合、療育センターや児童発達支援センター、児童発達支援事業所が療育を受ける代表的な施設になりますが、比較的施設数が多く療育を受けやすい、児童発達支援事業所に焦点を当て、探し方、選ぶポイント、よくある疑問について全3回に渡って解説します。

 

この記事では、児童発達支援事業所を選ぶポイントについて、詳しく紹介します。

(事業所の探し方についてはこちらの記事を参照ください。)

(よくある疑問・料金については12月更新の記事で記載予定です。)

 

コンセプトや支援に対する考え方はあるか

 事業所によってはコンセプトを持っていたり、支援に対する考え方がある場合があります。HPやリーフレットに記載されていることが多いのでぜひ確認してみてください。

 

例えばスタジオそらの場合こちらのページに載せています。(https://studiosora.jp/about/)

 

“【主役は子どもたち】スタジオそらは発達に障害があると言われる子どもたちばかりではなく、すべての子どもたちの健全な発達に向け、利用しやすく参加しやすい家庭や学校以外の第3の場、子どもたちが主役の安心と信頼の居場所です。

 

【1対1を基本に、楽しく】一人ひとりの子どもの特性や課題を見つめ、発達支援療育士®が1対1を基本に、楽しく療育が受けられる環境を創造します。楽しい!だからもっとやりたい!課題にチャレンジすることを手助けしていきます。

 

【子どもらしさを大切に】スタジオを訪れた子どもたちが、思いきり体を動かし、遊び、汗をかき、集中し、笑い、晴れ晴れとした空のような気持ちになって帰っていける、それが「スタジオそら」のコンセプトです。”

 

 障害があるお子さまはもちろんグレーゾーンのお子さまに対しても、興味関心・特性に合わせたプログラム提供をすること、個別療育を基本として、子ども自身が楽しいと感じられるプログラム構築をすること、身体を動かして遊び、集中して取り組み、笑顔になれることの3つをコンセプトに掲げています。

 

サービス提供時間の長さ

 サービス提供時間は事業所によって異なります。長時間のサービス提供となっている場合は、家族支援の一環としてお子さまのお預かりの要素が入っていることが多く、短時間の場合はお子さまのスキル獲得を目指す療育の要素が強い傾向があります。

 

個別療育か、集団療育か

 個別か集団かは事業所によって異なります。事業所によっては個別と集団どちらも行っている場合もあります。

 

 個別療育の場合、お子さま自身の発達段階に合わせたプログラム提供を行いますので、お子さまの自身のスキル獲得に期待ができます。ソーシャルスキルトレーニングなどの対人・コミュニケーション関連の支援は療育を行う先生と行うことが可能ですが、同年代のお子さま同士での経験を積むことはできません。

 

 集団療育の場合、複数のお子さまを同時に支援する分、お子さまに完全に寄り添って支援をすることは難しくなりがちです。既にある程度のスキル獲得が済んでいるお子さまにとっては集団療育が実践の場として、先生のサポートを受けながら経験を積むことができ、集団生活に早期になじむことが期待できます。また集団の場合は様々なシチュエーションで活動が進んでいくため、バリエーションに富んだソーシャルスキルトレーニングの実施が可能です。

 

 個別と集団どちらにも良い点がありますので、お子さまの状況に合わせて選択をすると良いでしょう。

 

提供しているプログラムやアプローチ方法

 プログラムの種類は子どもの数だけ無数に存在しますが、代表的なプログラムとしては運動療育、粗大運動、自然体験活動、微細運動、机上訓練、工作、創作活動、クッキング、学習支援、音楽療育、リトミック、感覚統合、ソーシャルスキルトレーニング、ビジョントレーニングなどがあります。

 

プログラムを選ぶ点で注意が必要なのは、運動療育に見えるプログラムでも運動技能の向上を目的とせず、運動を通じたソーシャルスキルトレーニング(対人コミュニケーションの向上)に分類されるプログラムなど、手法と目的が一目ではわかりずらい場合があることが挙げられます。

 

 またアプローチ方法の種類としては、ABA(行動のきっかけや結果を操作する方法、声掛け、褒めることやご褒美なども含まれます。)、TEACCH(時間・空間・手続きを構造化する方法、絵カードやスケジュール表なども含まれます。)、スモールステップ(細かく段階を踏んでいく方法)などがあります。

 

アプローチ方法に関してはお子さまにあったものを事業所で色々試して効果の高いものを選択してくれる場合がほとんどです。

 

 明確に受けさせたいものがあるのであれば、そのプログラム・アプローチ方法が可能かどうか確認することが必要です。絶対的なものがない場合は子どもの興味関心や特性と、伸ばしたいスキルは何かを伝えて、どのような内容のプログラム提供が想定されるのか確認することをおすすめします。

 

送迎サービスの有無

 送迎サービスの有無は事業所によって異なります。送迎先も事業所によって異なりますので、どこまでの送迎なのかは確認が必要です。

 

送迎サービスのない事業所に通わせたいが、送り迎えが難しいという場合は、移動支援が使えることがあります。移動支援での送迎の受け入れが可能かどうかを事業所に確認の上、お住まいの自治体に利用ができるか問合せをしてみることをおすすめします。

 

支援中の子どもの様子を知ることはできるか

 事業所の中には支援中の様子をモニターカメラやマジックミラー、窓などで確認することができる事業所もあります。リアルタイムで確認することで虐待を予防できたり、家庭での子育てのヒントとなる関わりを見ることができたりできます。

 

しかし個人情報保護の観点や、お子さまの集中力を高めたい目的から、カメラや窓を付けていない事業所がほとんどです。リアルタイムでの確認が難しい場合でも、当日の療育の様子を聞くことができる事業所は多くありますので、ぜひ確認してみましょう。

 

子どもに合った事業所選びを!

 児童発達支援事業所は、子どもの発達を促す療育を行う点で共通していますが、細かく確認するとそれぞれ内容が異なります。

 

お子さまの状況や家庭環境によって見るべきポイントは異なりますが、HPやリーフレットで確認できない部分に関しては問合せをしたり事業所見学・体験をしたりすることで確認をしてみることをおすすめします。

 

子どもが継続的に通所し、療育を受けられる環境を整えてあげられるよう、子どもにあった事業所を選びましょう。

 

発達障害療育研究所

スタジオそらに所属する言語学博士、言語聴覚士、臨床心理士など、様々な分野の専門家が集まる研究所です。発達障害を中心に、関連の情報を分かりやすく解説します。

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