
子どもの発達に欠かせない粗大運動と微細運動とは?違いや発達を促すポイントをまとめます。
2025.01.13「粗大運動」や「微細運動」という言葉を聞いたことがありますか。これらの言葉を初めて聞くと、「大雑把な動き」や「繊細な動き」を想像するかもしれませんが、具体的にはどのような運動を指しているのでしょうか。一緒に確認してみましょう。
粗大運動とは
姿勢の維持やバランスをとること、立ったり座ったりするなど、日々の生活で行われる身体全体を使った動作が粗大運動です。粗大運動は生後間もない赤ちゃんの時期から発達とともに獲得したり、変化したりするものです。寝返りやハイハイ、つかまり立ちなども粗大運動として位置づけられています。
粗大運動は、日々の生活に欠かせない基本的な動作を指します。年齢を問わず、多くの人が毎日歩き、立ち上がり、座った状態で姿勢を保つといった動作を自然に行っています。また、粗大運動では目と手や、手と足など、複数の箇所を同時に動かす「協調運動」も必要になります。例えば、キャッチボールをするときには、投げられたボールを目で見て、ボールの軌道を予想し、到達予測地点に手を伸ばし、ボールの到達と同時に手を握る、という複数の粗大運動によって構成されています。キャッチボールでは、ボールを目で追いながら手を動かす必要があり、どちらかが欠けるとうまくボールをキャッチできません。目と手の「協調」が求められる運動といえます。テレビで見かける「運動できない芸人」などの多くは、協調の部分がうまくできていないために、手と足を同時に動かすことにぎこちなさを感じていたり、手足を動かすことにつまずいている可能性があるでしょう。
粗大運動の発達を促すために
上記のとおり、粗大運動は日常生活で必要不可欠な動作であるため、日々の生活で少し意識を向けることで発達を促すことができます。
例えば、既に歩けるお子さんであれば、抱っこして歩くよりも一緒にお散歩した方が良いですし、その際に、手を振りながら歩くことで、手と足の動きがより一体となり、協調が促されるでしょう。エスカレーターで姿勢を保つことも粗大運動ですが、階段を使うことで、より粗大運動の発達に効果がありそうです。その他にも、ボールプールなどで行われる「感覚運動遊び」は、視覚、聴覚、触覚などの多様な感覚刺激を全身で受けとります。ボールを踏んで痛みを感じたり、コロコロ転がって気持ちいいなどと感じる中で、刺激を適切に受け止める力や、自分にとって快適な刺激を探して動く主体性を育むことができます。また、滑り台やブランコなどの遊具で遊ぶことで、安定した姿勢を保ち、立ち上がったり歩いたり、足を揺らしたり、身体を大きく使って遊ぶことができます。それによって、基礎的な粗大運動の発達の促進が期待できます。また、平均台や縄跳び、マット運動、バランスボール、トランポリンなど、いくつかの粗大運動を組み合わせて実施する「サーキットトレーニング」は、応用的な動作を円滑にできるように促すことが可能です。
微細運動とは
微細運動とは、手や指を使った細かく精密で細かい動作のことを指します。字を書いたり、絵を描いたり、箸を使ったり、積み木やビーズで遊ぶことも微細運動に含まれます。大きい物を扱うよりも、小さい物を扱う方が、微細運動の難易度は高いというのが一般的です。
日常生活で、どの程度微細運動を用いるかは、人によって、職業によって大きく異なります。日本の伝統工芸に見られるような精巧な作業には、微細運動が重要な役割を果たします。粗大運動は広く動物に備わっていますが、微細運動は人間と一部の類人猿だけが持つ特有の運動機能です。
微細運動はどのように発達する?
微細運動はどのように発達していくのでしょうか。
生後0〜2か月頃には、手をギュッと握っていることが多く、物を認識して自分の意思で物をつかむことはできません。2〜3か月頃には、持たせてあげれば、ガラガラなどのおもちゃを握ることができるようになります。3か月頃になると、自分の意思で見たものに手を伸ばすようになります。4〜6か月頃には、目の前のものに手を伸ばし、つかめるようになります。この際に、手に取ったものは口に持っていき、なめて確かめることが多くなるでしょう。7〜9か月頃になり、ハイハイなどで移動ができるようになると、さらにいろいろなものに手を伸ばし、確かめるようになります。いたずらもこの時期に増えていきます。10〜12か月頃には、親指と人差し指の2本で細かいものをつまめるようになります。この時期になると、指さしもできるようになるでしょう。12〜18か月頃には、指先の使い方が上手になり、積み木を積んだり、なぐり書きをしたりできるようになります。また、食事のときにスプーンを使うなど、道具を使い始めるのもこの時期です。
微細運動の発達を促すために
微細運動についても、どのような関わり方をするかによって発達を促進させることが可能です。1つ目の視点は、粗大運動よりも精密な目と手の協働を高めることが挙げられます。子どもの好きなおもちゃや教材などを活用し、それを注意深く見ながら手を動かす作業を繰り返します。プラモデル作りや、あるいはゲームなどでも、微細運動の発達が促進される可能性があります。2つ目の視点は、日常生活で用いる道具を使って練習するということです。食事で箸やスプーンなどを使う場面や、学習で鉛筆やはさみなどを扱う場面、着替えのときのボタン留めやファスナーの上げ下げといった動きの中で、微細運動は徐々に習得されます。
まとめ
粗大運動と微細運動は、時間をかけて少しずつ練習していくことで上達していくものです。短期間での習得を求めず、毎日の取り組みを大切にしましょう。保護者の方は、お子さんが運動に挑戦する姿勢や、興味を持つ気持ちを見守り、結果にこだわらず努力そのものを評価してあげることが重要です。
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