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特集
粗大運動・微細運動の様子

子どもの発達に欠かせない粗大運動と微細運動とは?違いや発達を促すポイントをまとめます。

2019.10.14

 「粗大運動」、「微細運動」という言葉を耳にしたことはありますでしょうか。文字のイメージを見ると「粗雑な、大ざっぱな運動?」、「微妙に細かい運動?」のように見えますが(まったく的外れ、というわけでもないですが)、実際にはどのようなものが粗大運動、微細運動といわれるのでしょうか。確認してみましょう。

 

粗大運動とは?

 姿勢を保ったり、バランスをとったり、あるいは身体全体を使って歩いたり走ったり、ジャンプしたりするような運動を粗大運動といいます。粗大運動は、発達とともに変化したり、獲得したりします。生後間もない赤ちゃんが、手足を伸ばしたり身体をひねったりする様子が、初期の粗大運動といえます。その後寝返りをうてるようになり、ハイハイができ、つかまり立ちができ、歩けるようになる。いずれも、粗大運動に位置づけられるものです。

 粗大運動は、いわゆる日常生活において核となる運動です。大人も子どもも、多くの人が、毎日立ち上がり、毎日歩き、時には走って、また座った姿勢を保って生活しています。また、スポーツなどでは、目と手や、手と足など、複数の箇所を同時に動かす「協調運動」も求められます。キャッチボールは、投げられたボールを目で見て、ボールの軌道を予測し、到達予測地点に手を伸ばし、ボールの到達と同時に手を握る、という、複数の粗大運動によって構成されています。目で見ること、手を動かすこと、どちらが欠けてもうまくボールはキャッチできません。目と手の「協調」があって達成できる運動といえるわけです。テレビでみかける、「運動できない芸人(番組内では運動神経悪い芸人と表記)」などの多くは、この協調の部分が苦手であるために、手と足を同時に動かすべきところでぎこちなさが生まれたり、目で見た情報にあわせて手足を動かしたりすることにつまずいている可能性があります。

 

粗大運動の発達を促すために

 上記のとおり、粗大運動は日常生活に根差しているので、日々の生活でちょっとだけ意識することで発達を促すことができます。

 

 たとえば、もう歩けるお子さんであれば、抱っこするよりも一緒に歩いてお散歩した方が良いですし、その際、手を振りながら歩くと、より手足の協調が促されるでしょう。エスカレーターで立つ姿勢を保持することも粗大運動ですが、階段を使って歩いた方が、やはり粗大運動の発達には効果がありそうです。その他にも、ボールプールなどで行われることの多い「感覚運動遊び」は、見る、聞く、触るなどの感覚刺激を全身で受けることで、運動する際に感じる刺激を適切に処理したり、好きな刺激を自分から求めて動いたりすることを促進します。また、 滑り台やブランコなどの遊具で遊ぶことは、安定した姿勢を保ち、立ち上がったり歩いたり、足を揺らしたり、身体を大きく使って遊ぶため、基礎的な粗大運動発達の促進が期待できます。また、平均台や縄跳び、マット運動、バランスボール、トランポリンなどのいくつかの粗大運動を組み合わせて実施する「サーキットトレーニング」は、応用的な動作を円滑にできるよう、促すことが可能です。

 

微細運動とは?

 手や指を使った細かく精密な動作を必要とするものが微細運動といいます。字や絵を書いたり、箸を使ったり、積み木で遊びやビーズ遊びも微細運動の仲間です。大きい物を扱うよりも、小さい物を扱う方が、微細運動の難易度は高いというのが一般的です。微細運動を日常でどの程度用いるかは、人によって、特に職業によって大きく異なります。いわゆる日本の伝統工芸のようなものは、微細運動がたくさん求められそうです。粗大運動は、ほとんどの動物に備わっている一方で、微細運動は、ヒトと、それに近い類人猿くらいにしか見られない運動です。進化の過程で備わった運動、とも言われています。

 

微細運動の発達を促すために

 微細運動も、関わり方次第で発達を促進させることが可能です。まず1つ目の視点は、粗大運動よりも、細やかなレベルでの目と手の協働を促進させることが挙げられます。子どもの好きな玩具や教材などを使用して、手元や教材をよく見て、手を動かしてみるというのが一連の動作になります。プラモデル作りや、あるいはゲームなどでも、微細運動は養われる可能性があります。また、日常生活で用いる道具を使って練習するというのが2つ目の視点です。箸やスプーンなどを用いた食事の場面、鉛筆やはさみなどを用いた学習の場面、ボタンをかけたりファスナーを上げ下げしたりするような衣服の着脱の場面などで、必要な動作を習得することが可能になります。

 

まとめ

 粗大運動も微細運動も、一気に能力が高まるような性質のものではありません。毎日、少しでもその運動に取り組むことで、徐々に上手になっていきます。保護者は焦らず見守り、子どものチャレンジする姿勢や、運動自体に興味を持つことへ称賛などの声かけをしてみましょう。定着を促すには、あまり正確さや文字などの美しさにこだわりすぎず、取り組み自体を称賛するような働きかけを行うことが良いでしょう。

 

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小関俊祐/発達障害療育研究所アドバイザー

桜美林大学心理・教育学系准教授。 日本認知・行動療法学会公認心理師対策委員及び倫理委員、一般社団法人公認心理師の会運営委員及び教育・特別支援部会長、日本ストレスマネジメント学会常任理事・事務局長を務める。 2019年より発達障害療育研究所・スタジオそらアドバイザーとして活動。

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