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特集

療育をすすめられたら?③よくある疑問・利用料金について

2021.12.13

 幼稚園や保育園、健診、医療機関などで療育をすすめられた際、最初に保護者がぶつかる壁はどのように探せばいいのか、どのようなポイントで療育先を選べばいいのかという疑問ではないでしょうか。子どもや家庭の状況は様々で、子どもに合った施設を探したいと思っていても、専門用語も多く困ってしまう保護者は少なくありません。

 

お子さまが未就学児の場合、療育センターや児童発達支援センター、児童発達支援事業所が療育を受ける代表的な施設になりますが、比較的施設数が多く療育を受けやすい、児童発達支援事業所に焦点を当て、探し方、選ぶポイント、よくある疑問について全3回に渡って解説します。

 

この記事では、よくある疑問・利用料金についてについて、詳しく紹介します。

(事業所の探し方についてはこちらの記事を参照ください。)

(事業所の選び方のポイントついてはこちら更新の記事を参照ください。)

児童発達支援事業所の利用料金の設定

 児童発達支援事業所として行政へ届け出を行っている事業所は、どこも同じ考え方で料金の算出が行われます。法改正によって算出方法が変化する場合はありますが、所在地、所属する指導員の資格や人数、事業所に通所している子どもの障害程度の割合、延長時間の有無、送迎の有無などによって事業所の利用料金が決まってきます。指導員の入社・退職、資格を新たにとったなどで変動があるため、毎月基本料金が必ず一緒というものではありませんが、1回の利用料金はだいたい10,000円~15,000円であることが多いです。

 

利用料金のうち9割は公費負担となるため、実際に保護者が支払う金額は1回あたり1,000円~1,500円くらいだと考えておくと良いでしょう。

 

さらに児童発達支援では利用者負担金額の軽減措置が3点あります。

 

1つ目は幼児教育の無償化です。満3歳になって初めての4月から、就学までの3年間(年少・年中・年長の期間)は保護者が支払う金額もすべて公費に切り替わり、無償となります。

 

2つ目は世帯所得に応じた負担上限月額の設定です。

生活保護世帯や非課税世帯については、保護者が支払う金額が全て公費に切り替わるため、無償となります。世帯所得が890万円までの場合は、1か月の利用上限金額が4,600円、世帯所得が890万円以上の場合は37,200円で設定がされます。1か月の利用金額が負担上限金額より多い利用金額の場合に軽減の適応があります。

 

3つ目は多子軽減措置です。

未就学の障害児通所支援利用児童について、兄・姉が保育所などに通園していることを条件に利用者負担額の引き下げが行われます。

未就学児童1人目は対象とならず、2人目が半額、3人目は無償となります。多子軽減措置の対象となるのは、未就学かつ保育所等に通所していることで人数カウントされますので注意が必要です。また自治体によって異なる場合がありますので、詳細はお住いの自治体に確認することをおすすめします。

 

利用料金とは別で請求される実費徴収についても確認しよう!

 その事業所が通常の支援で必要な、共有で使用される備品・教材は上記の利用料金に含まれていますが、利用者(子ども)のために準備・消費されるものは実費徴収として支払いが必要になります。

 

例えば療育で必要な教材である折り紙は、消費されるものですが他の子どもも共有で使うことができるため実費徴収はない場合が多いですが、調理体験を行うための食材費、遠足でかかる入園料・移動費などは実費徴収がある場合が多いです。

 

実費徴収が発生する場合は、事業所は事前に保護者にお知らせすることとされているので、確認してみることをおすすめします。

 

児童発達支援事業所でない施設の場合は必ず料金システムを確認

 ここまでは児童発達支援事業所として届け出を出している事業所の料金について説明しました。利用料金が前述のものと異なる場合は、児童発達支援事業所ではなく習い事として事業を行っている施設である可能性が高いです。

 

その場合は企業による独自の料金設定がありますので確認しましょう。

 

 児童発達支援事業所でない施設の場合は料金が高くなるケースがほとんどですが、児童福祉法にとらわれる必要がないという点でいくつかのメリットはあります。

 

児童福祉法は定期的に法改正が入りますが、児童発達支援事業所でない場合は法改正による利用料金、方針、提供内容の変更を必要としません。児童発達支援事業所は定員にも定めがありますが、習い事の場合は独自で受け入れ人数を設定することが可能です。また受給者証を必要としないため、通える日数や回数に定めがないこともメリットと言えます。(児童発達支援事業所は受給者証が必要なサービスため、お住いの自治体がお子さまにとって必要であると判断した日数のみ発行してくれます。それを超えての利用はできないため、保護者と自治体で意見の相違があると通いたくても通えない場合があります。)

 

 HPやリーフレットで下調べをする際、明確に「児童発達支援」と記載がない場合は、習い事として行っている施設である場合もあります。利用する前に一度問合せをして、しっかり確認することで「知らなかった」と後から困ることを防げますので、気になることは施設に問合せをしてみてくださいね。

 

発達障害療育研究所

スタジオそらに所属する言語学博士、言語聴覚士、臨床心理士など、様々な分野の専門家が集まる研究所です。発達障害を中心に、関連の情報を分かりやすく解説します。

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