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特集

運動会や発表会に参加できない…。行事を嫌がる子どもへの対応

2025.09.16

運動会や発表会の時期になると、これまで元気に園や学校に通っていた子どもが、急に登園や登校を嫌がったり、表情が暗くなったりすることがあります。中には「参加しない」と訴えるお子さんもいらっしゃいます。運動会や発表会などの行事を嫌がる子どもに対し、「どう対応したらいいのだろう」と悩まれる方も多いでしょう。ここでは、そんな子どもの気持ちを理解し、支援する方法について見ていきましょう。

どうして運動会や発表会を嫌がるの?その理由を考えてみましょう

運動会や発表会に関して、「どうして嫌なの?」と子どもに尋ねても、なかなか言葉にできなかったり、子ども自身もなぜ嫌なのかがはっきりわかっていなかったり、言いたくなかったり、といったこともあるでしょう。子どもの行動や表情に焦点を当てながら、その理由や背景を予測してみることが必要です。

①不安や緊張が強い
多くの子どもにとって、大勢の人前で演じることや活動することはそもそも不安を感じるものです。また、過去のうまくいかなかった経験から、「また失敗したらどうしよう」と、固まってしまったり、不安を過度に評価してしまったりする子どももいます。
「ドキドキするよね、緊張するよね、不安だよね」、と、子どもが理解しやすい表現で、その気持ちを受け止めてあげることが必要です。また、お母さん/お父さんもそうだったよ、と、保護者自身の体験を話したり、頑張ったらみんながほめてくれてうれしかったよ、と、ポジティブな状況に目を向けさせたりするような働きかけが有効です。

②活動内容がむずかしい
振付やセリフなど、一連の動きや流れを覚えなければならないことがむずかしく、練習の段階から失敗してしまったり、他の子どもたちよりも上手くできない、と感じてしまったりすることによって、やりたくない、どうせできない、と感じてしまう子どももいるでしょう。
他の子どもと比べて評価するのではなく、前回よりも上手になったポイントに着目してフィードバックをしたり、子どものできることに合わせた目標設定をスモールステップで組んであげて、楽しみながら練習したりするような工夫が必要です。

③感覚過敏がある
かけっこのピストルの音が嫌だったり、大勢で合唱や合奏をするときの音が怖く思えたり、体育館の反響音が苦手だったり、舞台の照明が強すぎたり、といった感覚の過敏性が影響している子どももいるでしょう。
普段の様子を参考にしながら、あらかじめ大きな音ができることを予告しておいたり、自分の出番以外は他の静かな場所で待機できるようにしておいたり、場合によってはイヤーマフを使ったりするなど、園や学校の先生とも対応策を検討しながら、連携して対応することが求められます。

不安やストレスを軽減するための具体的な支援

さまざまな理由の根本に、不安やストレスがある可能性が高いと考えると、それぞれに応じた対処方法を身につけていく支援が有効でしょう。
たとえば、少しずつ行事環境に慣れさせていくこととし、最初は短時間だけ参加して、徐々に時間を延ばしていく方法が考えられます。全て参加か全て不参加ではなく、一部だけ参加するなどの選択肢を用意することも良いでしょう。また、その際には参加できた部分を具体的にほめ、成功体験として子どもが認識できるように支援することも重要です。

また、特に行事の前には、急な予定の変更が生じることも多くなり、それに伴って不安も高まりやすくなることが予測できます。そのような場合には、行事の流れや活動内容を絵や写真で示し、見通しを持たせるといった視覚的なサポートも有効です。あわせて、「晴れた場合はグラウンド、雨なら体育館で練習」のように、変更の可能性も含めて提示できるとより良いでしょう。

まとめ

これらの対応に共通する重要な要素として、子どもの個別のニーズを理解し、適切なサポートを提供することです。無理に参加させるのではなく、子どもの気持ちを尊重しながら、少しずつ挑戦できるよう支援することが大切となります。特に、発達障害のある子どもの場合には、感覚過敏や状況の変化に対する適応の苦手さが影響している可能性もあります。子どもの話を聞き取りながら、園や学校と連携しながら取り組んでいくことが望ましいでしょう。

小関俊祐/発達障害療育研究所アドバイザー

桜美林大学心理・教育学系准教授。 日本認知・行動療法学会公認心理師対策委員及び倫理委員、一般社団法人公認心理師の会運営委員及び教育・特別支援部会長、日本ストレスマネジメント学会常任理事・事務局長を務める。 2019年より発達障害療育研究所・スタジオそら顧問として活動。

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