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特集

子どものうちに運動に取り組むメリット ~健康、余暇、自信、社会性を育む!~

2025.02.10

「運動」といっても、中身はさまざま!

 大人も子どもも、日常においてさまざまな運動をしながら生活しています。朝起きて背伸びをし、学校や会社へ向かって歩き、落としたものを拾ったり、重い荷物を持ち上げたり。子どもたちは体育やクラブ活動で、まさに日々、運動をしています。

 

「私は運動神経がないから」というような声を聴くこともありますが、ある一定レベルまでであれば、どの人もトレーニング次第で運動スキルを高めることができるとも言われています。ここでは、運動をすることのメリットについて紹介します。

運動をすることのメリット1:心と身体の健康を保つことができる!

 「心身相関」という言葉をご存知でしょうか。心と身体は相関関係にある、つまり「つながっている」という意味の言葉です。これは心が元気になれば身体も元気になるし、その逆も起こり得ることを意味しています。また、心が元気ではないときに、身体を元気にすることで、心も徐々に元気になってくる、ということも起こりえます。たとえば、お風呂に入ってリラックスしたり、甘いものを食べたり、そして好きなスポーツをして汗をかいたりすることで、多少落ち込んでいたり、悲しい気持ちになっていても、元気になることが期待できます。

 

 適度な運動は、食欲の増進、睡眠の質の向上にもつながります。生活習慣の乱れを感じている方は、大人も子どもも、ぜひ運動習慣の形成からチャレンジすることをお勧めします。お子さんがなかなか寝ない、食べ物の好き嫌いが激しい、なんだか知らないけれどしょっちゅうイライラしている、というような様子に当てはまる場合には、たとえばかけっこや鬼ごっこのような簡単な運動から、試してみてはいかがでしょうか。

運動をすることのメリット2:余暇になる!

 運動に対して、人によっては得意不得意があったり、好き嫌いがあったりするでしょう。運動会やマラソン大会が苦手だった記憶がある方もいると思います。その一方で、子どもの頃は運動が苦手だったけれど、今はウォーキングをしたり、ジムに通ったりしている、という方もいるのではないでしょうか。おそらく、そのような方は、運動をすることの楽しさや喜びを実感されているはずです。

 

 このように、運動は楽しさ、余暇につながります。休みの日に、やることがなくてゲームばかりしていたり、「つまんな~い!」と何度も訴えるために子どもも保護者もイライラしてしまったり、ということも起こりうるでしょう。そんなときに、運動することの楽しさに気づくことができていれば、自分から、「ちょっとジョギングしてくる」という選択肢に気づけたり、保護者の「公園でサッカーしようか」という声かけに反応したりすることもできるでしょう。

 

 ただし、あらかじめ運動の経験がないと、自分からこの運動をやってみよう、という気持ちにはなりにくいものです。また、好きな運動が何か、ということも人によって異なりますので、まずは休みの日などにいろいろと試してみて、お子さんの興味を引くものがあるかどうか、探してみましょう。

運動をすることのメリット3:みんなと遊ぶことができる!

 1人でする運動もたくさんありますが、集団でする運動もたくさんあります。「言葉は通じなくても、ボール1つで世界中の人とつながることができる」というような、サッカー選手のメッセージを聞いたことがあるかと思います。サッカーに限らず、野球、ドッチボール、鬼ごっこ、かくれんぼ…、運動を介して、友だちとの交流が生まれます。最初はなんとなくでも一緒に遊んでいるうちに、仲良くなる、という様子は、多くの子どもたちの間でも見られる姿です。

 

 また、このような集団での運動を通して、ルールやマナーを学ぶ機会にもなります。みんなと楽しく運動したり遊んだりするためには、ルールを守らなければなりませんし、故意かどうかにかかわらず、ルールを破ってしまうと「ずるいー」と指摘され、ルールを守らないと楽しく遊べない、と気づいたり学んだりする機会にもなりえます。

運動をすることのメリット4:自信が持てる!

 運動を通して、たくさんの「できた!」を経験することができます。

ボールを握ることができた、ボールを投げることができた、投げられたボールをキャッチすることができた、それら全部できるようになったらキャッチボールができた、を達成することができます。

できることがどんどん増えていくと、どんどん自信がつきますし、キャッチボールができるようになったら、野球をやってみたい、大きいボールでドッチボールやバスケットボールをやってみたい、と興味も広がっていくでしょう。このように、「やればできる!」という経験を積むことは、長い人生においても、チャレンジする気持ちを高めることにもつながります。

 

 球技に限らず、さまざまな運動が、学校の体育でも扱われます。そのなかで、1つ、2つだけでも自分が得意だと思える運動を見つけられるだけで、学校に行くことが楽しみになったり、「算数は苦手だけど、今日は体育があるから頑張ろう」というような、励みになったりすることもあるでしょう。

まとめ

 運動は身体にいいもの、というイメージは皆さんお持ちだと思いますが、ここでは改めて、特に子どものうちに運動に取り組むことのメリットについて紹介いたしました。ここでご紹介したような観点を意識して運動に取り組んだり、お子さんと共有したりすることで、より一層、運動に対するモチベーションが高まることが期待できるでしょう。運動も、さまざま種類も難易度もありますので、お子さんの興味関心を探りながら取り組むことができるとよいですね。

小関俊祐/発達障害療育研究所アドバイザー

桜美林大学心理・教育学系准教授。 日本認知・行動療法学会公認心理師対策委員及び倫理委員、一般社団法人公認心理師の会運営委員及び教育・特別支援部会長、日本ストレスマネジメント学会常任理事・事務局長を務める。 2019年より発達障害療育研究所・スタジオそら顧問として活動。

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