トランポリン元日本代表・岸彩乃さんに聞く！運動が好きになる実体験 ー書籍『スタジオそら式 おうちでできる マット・鉄棒・とび箱（略）』発売記念対談②ー

　書籍『できた！がふえる　運動が好きになる！ スタジオそら式 おうちでできる マット・鉄棒・とび箱』(以下、「スタジオそら式 おうちでできる マット・鉄棒・とび箱」)の発売を記念して、トランポリン元日本代表であり、現在は子どもたちへの運動指導にも携わる岸彩乃さんをお招きし、インタビューを実施しました。

　本書の内容を踏まえ、子ども×運動をテーマに、2回にわたって語っていただきます。第2回目となる今回は「運動が好きになる実体験」についてです。

　「できた！」という感覚は常に原動力でした。トランポリンは競技としての勝ち負けはありますが、練習の中で「技ができた」というのは日ごろから感じることができました。自分で目標を立てて、それができたときの達成感が嬉しかったですね。もちろん試合で勝ったことも記憶に残っていますが、日々の練習の中で「この技が成功した！」という瞬間の積み重ねが、楽しいとか好きとかの気持ちを強くしていたかもしれません。

　実は水泳と球技が…。25メートル泳げるようになったのは小学校を卒業する頃でしたし、球技は正直今でも苦手です。トランポリンをやっていた影響か、走り方が跳ねて見えるらしく、高校の体育のバスケの授業では「怖いから試合に出ないで」と言われたことも（笑）。

　そうだといいですね。実は球技が苦手って、体操競技の選手ではあるあるだったりします。苦手があるからこそ、指導者として子どもに寄り添えるのかもしれません。

　あると思います！トランポリンだと、「はねる」感覚そのものが楽しくて好きになる子も多いように感じます。好きなものは、やはり技もどんどんできるようになっていきますね。

私自身の経験でお話しすると、技ができるかできないかだけではなく、友達と楽しい時間を過ごすことも好きになる要素のひとつでした。練習時間の合間に遊びの時間というものがあって、試合ではやらない“遊び技”というのをやるんですが、それがとても楽しかったんです。レベル差とかもあまり感じるものではない分、純粋に楽しんでいたのだと思います。

そういうこともあって、「好き」「楽しい」という気持ちは、子どもたちに体操を教える上でも大切にしています。

「できて嬉しい」という気持ちを喜び合えるようにハイタッチをしたり、ゲーム感覚でできる練習を取り入れたり。ただ、楽しすぎちゃうと練習から外れて遊びになってしまう。夢中になりすぎて怪我をしてしまうこともあるので、「楽しい練習」と「ふざけるような遊び」の、線引きには気を付けないといけないと思っています。

　体力や力が必要になる練習は当然ながらしんどいですし、それがきっかけで「運動がきらい」になってしまう子もいます。そういう練習をしないといけない時は、最初は「できる回数や量」で、「できた！」という楽しい気持ちを持ってもらえるようにしています。

ゲスト：岸彩乃（きしあやの）

トランポリン元日本代表選手。1992年生まれ、石川県小松市出身。

5歳からトランポリンを始め、全国高校選手権を連覇し、2012年ロンドンオリンピックに出場。2017年世界選手権大会では女子個人で2位、2019年世界選手権大会ではシンクロナイズドで優勝を果たすなど、国内外で活躍。現役引退後は、子どもたちへの体操指導や講習活動を通じて、運動の楽しさと「できた！」という達成体験の大切さを伝えている。

インタビュー：発達障害療育研究所

著：スタジオそら/発達障害療育研究所

出版社：河出書房新社

定価：1,793円（税込）

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