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特集
東京FCセンサリールーム見学

発達障害、感覚過敏…配慮された空間で観戦ができる!FC東京設置のセンサリールームに行ってきました。

2024.11.11

 発達が気になるお子さまとご家族にとって、迫力のある音や映像が提供される映画館や劇場、大観衆が集まるスポーツ観戦などの空間に家族一緒に行くことには課題があります。今回FC東京さまより企画いただき、国立競技場設置のセンサリールームに、スタジオそら会員のご家族と参加させていただきました。明治安田Jリーグ「FC東京VS名古屋グランパス」の試合観戦を行いながら、徐々に広がりつつあるセンサリールームの運用現場を見学させていただいたので、その魅力をお伝えします。

センサリールームとは

 近年、多様なニーズに応える社会の実現が求められており、その一環として注目されているのがセンサリールームの導入です。センサリールームは、特に発達障害や感覚過敏などの人々が安心して過ごせるように配慮された部屋です。近年、映画館やスポーツ施設などにも広がりつつあり、特性により参加を断念されていた方もイベントやエンターテイメントを楽しめるようになってきています。

 FC東京では認定特定非営利活動法人トラッソス(※以下 NPO法人トラッソス)と連携し、味の素スタジアムや国立競技場で試合を開催する際に、センサリールームを随時設置しています。センサリールーム内では、その子にあった安心・安全な観戦をサポートし、誰もが笑顔で楽しめる場を提供しています。

また、センサリールームの導入に際しては、専門家からの助言を得ながら準備を進め、運営に際しては、毎回、ドクター等のアドバイスを反映しながら運営しています。

誰もが安心して過ごせる!FC東京のセンサリールームをご紹介

 国立競技場に設置されたセンサリールームは、NPO法人トラッソスの皆様が、関係機関や専門家の方々からの助言等を踏まえて、来場者の特性に合わせて、様々な工夫や配慮が施されています。

 部屋に入ると、まずはFC東京のマスコット「東京ドロンパ」が来場者を温かく出迎えてくれます。お部屋は人混みを避けることができる個室が準備されていました。大きな音を遮ることができ、イヤーマフも設置されており、聴覚に敏感さがある方でも安心して過ごすことができるよう配慮がされていました。お部屋の一角には靴を脱いであがれる畳シートが敷かれ、座ったり抱き着いたりできる大きなリラックスクッションが設置されており、触覚に敏感さがある方や、体幹が弱い方、多動性、衝動性がある方など、それぞれに合わせた利用が可能です。その他にも試合の見通しがもてる進行表があったり、気持ちをクールダウンできる空間があったり、様々な特性に対応した過ごしやすい空間になっていました。

 センサリールームの運営にはFC東京・スポーツボランティアの方々も多様な業務にご尽力されていました。来場者からのJリーグやFC東京に関するご質問に応えたり、施設内をご案内したりと、来場者のご家族がリラックスして観戦できるよう、重要な役割を果たしていました。

東京FCセンサリールームの様子

リラックスした空間での家族観戦!

 今回観戦されたご家族は、国立競技場での観戦、家族揃ってのサッカー観戦も初めてでしたが、とても楽しそうに過ごされていました。ご家族からは、「目の前でFC東京の選手が得点するシーンを見ることが出来て、感動しました。大規模なスポーツ施設でのセンサリールームでの観戦は、日常ではできない体験。暑さや人混み、騒音などの苦手なものに邪魔されず、純粋にサッカーを楽しめました。家族一緒に過ごせたので、素晴らしい企画に感謝しています。」とのご感想を聞かせていただきました。

ご家族の方からは、「子どもの状況によっては、最後まで観戦できないかもしれません。」と伺っていましたが、当日は試合終了まで滞在することができ、そして、お子様からは「またあのお部屋で、サッカーを観たいね。」との声を聞くことができました。

 ご家族揃ってのサッカー観戦が初めてというご家族でしたが、リラックスした空間で試合を楽しむことができ、素敵な笑顔が印象的でした。今回のセンサリールームの見学を通じ、この取り組みが社会に大きく貢献していることを実感しました。

東京FCセンサリールームで観戦

センサリールーム設置の意義とこれから

 発達が気になるお子さまとご家族にとって、迫力のある音や映像が提供される映画館や劇場、大観衆が集まるスポーツ観戦などの空間に家族一緒に行くことには課題があります。しかし、イベントやエンターテイメントに参加することは、お子様の夢を叶えたり、お子さまの成長や社会性を促したり、ご家族の大切な時間を創出するなど、様々なポジティブな効果があると考えられ、それにはセンサリールームの普及が欠かせません。

 運営を担当されているNPO法人トラッソスの吉澤さんから、「センサリールームの意義はとても大きいと感じています。この事業を通じて、ご家族で過ごせる時間が有意義なものとなっていることを実感しています。」、また「以前、落ち着いて観戦することが苦手なお子さまがセンサリールームをご利用された際、途中まで部屋の中を動き回っていたお子さまが、ご家族の皆さまの観戦する姿に触発され、いつのまにか試合を楽しそうに観戦していました。」とのお話を伺いました。

 私たち児童福祉の分野で働くスタッフとしては、すべての子どもたちの過ごしやすさが広がりつつある社会の実現に嬉しさを感じるとともに、スタジオそらで蓄積してきた知見やノウハウを活かし、他社や企業とコラボレーションしながら社会に貢献していきたいと改めて考える機会となりました。

 これからの社会においては、障害のあるなしに関わらず、誰もが自分らしく感動や共感を得ることができる社会づくりが求められます。今回のFC東京の取組みは、私たちの社会をより豊かなものとし、相互理解を深める素晴らしい取組みであることを学ばせていただきました。このような取組みが多様な分野に広がっていくことを願っています。

スタジオそら事務局

スタジオそらの事務局です。スタジオそらからのお知らせや、旬なニュース、子育てに役立つ情報などワクワクする情報をお届けします。

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