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ABAを行う時の強化子イメージ写真

ABA(応用行動分析)とは?「どんなときに、何をしたら、どうなった」に着目する子どもの理解と支援

2020.08.10

子どもの行動に着目しよう

 「心理学」では、目に見えない「心」を理解しようと、さまざまな形で研究が発展してきました。そのなかの1つに、行動に着目することで相手の心を理解する、行動分析という考え方があります。

 

行動に着目することの利点として、複数の人の間で様子を共有することができるという点が挙げられます。お子さんには、家族だけではなく、学校、習い事、療育機関の先生など、多くの人が関わりますが、その際に「最近成長してきた」というような表現だけでは、十分な情報共有が出来ているとはいえません。一方、「授業で毎回3回以上挙手している」など、具体的な行動で表現することで、「成長」の中身を共有することが可能になります。お子さんをほめるときにも、「頑張ったね」よりは「毎回発言しようと挙手して頑張ってるね」の方が、何をほめられているのか、伝わりやすいでしょう。

 

ABA(応用行動分析)の考え方

 行動に着目する行動分析を、子どもの支援に活かす考え方としてABA(応用行動分析)というものがあります。ABAでは、<子どもの行動>だけではなく、行動の<きっかけ>と<結果>に注目することで、子どもに対する理解を深めていきます。

 

 たとえば、「ちょっと手伝って」と声をかけられたときに、「お手伝いをする」と、「ありがとうと言われた」というような、「どんなときに、何をしたら、どうなった」の関係性を図示したものが以下になります。

ABAの図解

 行動には、必ず何かしらのきっかけがあります。たとえば「お母さんが料理をしているのを見つける」「洗濯が終わったことに気づく」など、子どもが自発的に行動する際にも、きっかけは存在します。そして子どもが行動を起こし、その結果として自分にとっていいことが生じると、その行動をまたするようになると考えられています。

 

 つまり、行動を維持するためには、何かしらのいいことが起こることが必要だという考え方です。このいいことは、人によってさまざまなので、何が行動の維持に影響しているのか、見極めることが大切です。

 

ABAに基づいた支援のやり方

 子どもの行動に着目した支援を行うには

①行動の「きっかけ」にアプローチする
②行動の「結果」にアプローチする
の2つの観点が挙げられます。

 

「してほしい行動」を「増やす」には

子どものしてほしい行動を増やしたいときの基本方針は、

①行動の「きっかけ」を提示する
②行動の「結果」に「いいこと」を提示する(=強化)

の2つになります。

 

 行動の「結果」として使用する「いいこと」のことを「強化子」(きょうかし)といいますが、ほめられたり、ごほうびがもらえたり、楽しい経験ができたりすることが、強化子になる可能性があります。行動の後に強化子が得られると、その行動をする回数が増えます。強化子によって行動の回数が増える現象を「強化」といいます。

Ex.お手伝いをしたらほめられた(強化子)ので、毎日お手伝いをするようになった(強化)

 

【自宅でのABA活用事例】

①行動の「きっかけ」を提示する

「お手伝いをする」という「してほしい行動」を増やす支援を行うときに「ちょっと手伝って―」という声掛けをしたり、「手洗いをする」という「してほしい行動」を増やす支援を行うときに「手を洗っておいで」といった声掛けをしたりすることは、すぐに提示しやすいきっかけです。同様に、「手伝ってほしいときに、声掛けとともに掃除機を渡す」などの方法も、きっかけにアプローチする具体的方法といえるでしょう。

 

②行動の「結果」に「いいこと」を提示する

実際にしてほしい、望ましい行動が確認できたら、「ありがとう」、「上手にできたね」といった、ほめる声掛けをすることが、行動の「結果」に「いいこと」を提示することの具体的方法になります。

 

「してほしくない行動」を「減らす」には

子どものしてほしくない行動を減らしたいときの基本方針は、

①行動の「きっかけ」をなくす
②行動の「結果」に「いいこと」をなくす(=消去)

の2つになります。

 

してほしい行動を増やすときに「いいこと」を提示するのに対して、「いいこと」をなくして行動が起こる回数を減らすことを「消去」といいます。

 

【自宅でのABA活用事例】

①行動の「きっかけ」をなくす

「お菓子の取り合いが起こらないよう、同じお菓子を複数用意しておく」「ケンカにならないよう、別の部屋で遊ばせる」などの対応が、してほしくない行動のきっかけをなくす、具体的手続きです。

 

②行動の「結果」に「いいこと」をなくす

「無理やり引っ張ってほしいおもちゃをとろうとする」などの行動が見られたときに、おもちゃを渡さないというのが結果への対応例になりますが、それよりも、「貸して」「終わったらやらせて」といった、より良い行動を身につけさせることに重きを置いた支援を行うことが推奨されます。

 

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小関俊祐/発達障害療育研究所アドバイザー

桜美林大学心理・教育学系准教授。 日本認知・行動療法学会公認心理師対策委員及び倫理委員、一般社団法人公認心理師の会運営委員及び教育・特別支援部会長、日本ストレスマネジメント学会常任理事・事務局長を務める。 2019年より発達障害療育研究所・スタジオそら顧問として活動。

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