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非常時における子どもの心の不調のサインと心のケア

非常時における子どもの心の不調のサインと心のケアについてご紹介します

2020.03.09

新型コロナウイルスの影響で、全国規模の一斉休校の要請が出たり、子どもたちも保護者の皆様も、これまでに経験したことのない状況にいらっしゃると思います。

 

新型コロナウイルスに対する感染予防については「子どもがいる家庭の新型コロナウイルス・インフルエンザウイルス感染症の予防方法をまとめます。」にて紹介しておりますが、ここでは、今回のような一斉休校や地震などの大規模災害の非常時における子どもの心のケアについて、ご紹介したいと思います。

 

子どももストレスを感じる!?

非常時には、子どもも大人と同様に、さまざまなストレスを抱えることが知られています。

 

大人は、「家族を守るためにはどうしよう」とか、「仕事と家庭のバランスを再確認しなければ」と、いろいろな事態を想定しつつ、対処方法を考えたり、予防策を講じたり、あるいは家族や他のサービスに対する援助を求めたりするような「対処行動」をとるでしょう。

 

それに対して、子どもの場合には、ストレスに対する「対処行動」を十分に獲得できていないことも少なくありません。もちろん、イライラしたときに気分転換にゲームをしたり、不安になったときに保護者に相談したりするなどの対処行動をとることができる子どもは、多少のストレスには対処できる可能性があります。

 

しかしながら、ストレスへの対処方法を十分に身につけていない子どもに対しては、ストレス発散方法を身につけるためのサポートが必要になるでしょう。

 

子どもの不調に気づくには

「ストレス」という言葉は、小学生にも用いられるようになっていますが、抽象的なものであるため、うまく「ストレス」という状態を、子どもが説明することが難しいものでもあります。特に、非常時においては、大人から見ると「変な」行動をとる子どもたちもいます。それは、子どもの心理的な不調のサインであると理解することができる場合もあります。

 

そのサインには、以下のようなものがあります。

 

 ・ 寝つきが悪かったり、眠りが浅く、夜中に飛び起きる、早すぎる時間に起きたり、寝すぎたりするなどの睡眠に現れるサイン

・ 腹痛や頭痛など、身体に現れるサイン

・ 食べ過ぎたり、食べなさすぎたりするような食事に現れるサイン

・ 大人にべったりして離れようとせず、泣いたり、怒ったりするような気持ちに現れるサイン

・「赤ちゃん返り」といわれるような、わがままを言ったり、幼い言動をしたり、おもらししたりするような行動に現れるサイン

・「津波ごっこ」、「地震ごっこ」、「感染遊び」のように、起きている出来事を再現するような遊びに現れるサイン

 

このようなサインが現れたときには、大騒ぎしたり、叱ったりすることは逆効果です。赤ちゃん返りや津波ごっこなどを制止する必要もありません。むしろ、一緒に遊んだりしながら、「あらあらかわいい〇〇ちゃん、大丈夫よ、ママのところにおいで」と、ままごとのようにして甘える経験を確保したり、「安全なところまで避難できたね」というところまで体験を共有していただいたりすることが有効とされています。まずは、家庭が安心で安全な場所であるということを、子どもと一緒に、保護者の方も確認していただくと良いでしょう。

 

正しい情報を伝える

小学生くらいになると、「コロナって何?」と、ニュースや友だち同士の会話から、断片的に情報を得ることもあるでしょう。

 

インターネットなどから情報収集する子どももいるかもしれません。子どもが自分で情報収集することは、勉強などへの興味関心を高めるというメリットが期待される一方で、デマなどの誤った情報で不安を喚起されたり、誤解のまま不適切な行動を選択してしまったりするリスクにもつながる可能性があります。

 

情報源を確認しながら、正しい知識を与えるとともに、むやみに関連した映像や情報にさらされることのないように注意しましょう。

 

不安やストレスを感じている子どもには

不安やストレスを感じている場合には、以下のような行動をとってみましょう。子どもだけではなく、家族みんなで取り組んでみることも推奨されます。好きな音楽をかけるなどの工夫も取り入れ、楽しい雰囲気で実施してみましょう。

 

・子どもがどのようなことに困っているのか、ニーズや心配事を確認、共有する

・安心して落ち着けるよう手助けをしたり、生活する場所を調整したりする

・子どもが話したいことを聞く

・可能な限り普段の生活習慣を保ち、規則正しい生活をする

・室内でも、ストレッチやラジオ体操をするなど少しでも体を動かす

・子どもができる範囲の、ちょっとしたお手伝いなどを設定し、しっかりとほめる

・手洗い、咳エチケット、適度な運動などの方法を確認し、自分でできるよう促す

 

まとめ

想定外の非常事態は、大人も子どもも不安が喚起されます。

 

そのような場合にこそ、いつもと同じ生活、普段通りを意識しながら生活していただくことが重要になります。子どもへのかかわり方などについては、家族間でも同じような関わり方ができるよう、共有しておくことも大切です。

 

 

 <引用・参考文献>

「感染症対策下における子どもの安心・安全を高めるために」(一社:日本臨床心理士会災害支援プロジェクトチーム,一社:日本公認心理師協会災害支援委員会:公社:セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン)

http://www.jsccp.jp/userfiles/news/general/file/20200302174321_1583138601335720.pdf

 

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小関俊祐/発達障害療育研究所アドバイザー

桜美林大学心理・教育学系准教授。 日本認知・行動療法学会公認心理師対策委員及び倫理委員、一般社団法人公認心理師の会運営委員及び教育・特別支援部会長、日本ストレスマネジメント学会常任理事・事務局長を務める。 2019年より発達障害療育研究所・スタジオそら顧問として活動。

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