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療育(発達支援)とは?プログラムと利用対象、施設の種類について解説

療育(発達支援)とは?プログラムと利用対象、施設の種類について解説

2026.08.10
  • 療育(発達支援)とは(定義)
  • ・療育と発達支援との違い
  • ・療育施設(発達支援施設)と保育園の違い
  • 療育(発達支援)で行っているプログラム
  • 療育(発達支援)に通う基準と利用対象
  • 療育(発達支援)を受けるまでの流れ
  • ・相談
  • ・検査
  • ・療育施設選定
  • ・受給者証申請・交付
  • ・利用開始
  • 療育(発達支援)が受けられる施設
  • ・通所型
  • ・入所型
  • ・訪問型
  • ・一部医療機関(発達外来など)
  • 療育(発達支援)の事例
  • まとめ

 子どもの発達について「何か気になる」「もしかして発達障害?」などと感じたときに、「療育」という言葉を耳にしたことが多いのではないでしょうか。しかし、「療育って具体的に何をするの?」「うちの子は対象になるの?」と疑問を持つ方も少なくありません。本記事では、療育(発達支援)の定義や保育園との違い、利用対象、受けられる施設の種類、そして利用を始めるまでの流れをわかりやすく解説します。

療育(発達支援)とは(定義)

 療育(発達支援)とは、障害のある子どもやその可能性のある子どもに対し、個々の発達の状態や障害の特性に応じて、今の困りごとの解決と、将来の自立および社会参加を目指して行う医療的、福祉的、教育的支援を指します。心理機能の適正な発達を支援し、円滑な社会生活を促進させることを目的として展開されています。

 こども家庭庁の「児童発達支援ガイドライン」では、次のように定義されています。
「児童発達支援は、障害のある子どもに対し、身体的・精神的機能の適正な発達を促し、日常生活及び社会生活を円滑に営めるようにするために行う、それぞれの障害の特性に応じた福祉的、心理的、教育的及び医療的な援助である。」
つまり、療育は子どもの「今できないことを無理やり訓練する」ものではなく、その子の特性や発達段階に合わせながら、これまでできなかったことをできるように支援したり、ときどきできていたことをいつもできるように支援したりする一連の取り組みを指します。

【療育と発達支援との違い】
 「療育」という言葉と同様に、「発達支援」という言葉が用いられることも増えています。「療育」という言葉はもともと、戦後、肢体不自由のある子どもへの支援を指して作られた造語です。当初は「医療・教育・職能の賦与(必要な力を身につける支援)」を柱とした概念でしたが、その後、身体以外の障害や困難を持つ子どもへの支援にも広がっていきました。

 一方「発達支援」は、「療育」の元来の概念をより広く包含する言葉として使われるようになってきました。法律や制度の中では「療育」という表現が残っている場合もあるため、現在は「療育(発達支援)」と並べて使われることが多いです。本記事でも、この2つを同じ意味として「療育(発達支援)」と表記します。

【療育施設(発達支援施設)と保育園の違い】
 また、療育施設(発達支援施設)と保育園はどう違うのか、気になる方もいらっしゃると思います。療育施設(発達支援施設)と保育園の違いをまとめると、(図1 療育施設(発達支援施設)と保育園)のようになります。療育施設の主な目的は発達の促進や困りごとの解決、あるいは自立支援であるのに対して、保育園は保育、幼稚園は教育、そしてその両方で集団生活の力を養うことが主な目的といえます。また、療育施設の対象は障害のある、あるいはその可能性がある子どもである一方で、保育園や幼稚園は原則としてすべての未就学児が対象となります。そして療育施設では個別支援計画に基づいた個別支援や小集団支援が行われるのに対して、保育園や幼稚園ではクラス単位の集団保育や教育が行われます。

 療育施設は、保育園や幼稚園に代わるものではなく、両方を並行して利用することも可能です。保育園や幼稚園に通いながら、週に数回、療育施設でサポートを受けるという子どもたちも多くいます。

療育(発達支援)とは|療育(発達支援)施設と保育園の違い

療育(発達支援)で行っているプログラム

 療育(発達支援)では、子ども一人ひとりの特性や発達の状況に応じて幅広い内容の支援が行われます。「児童発達支援ガイドライン」では、子どもへの本人支援の領域として、次の5つが示されています。

①健康・生活
食事・排泄・着替えなど、日常生活に必要な基本的な習慣の獲得をサポートします。

②運動・感覚
粗大運動(走る、跳ぶ、バランスをとるなど)や微細運動(手先の操作など)、感覚の獲得や調整能力を育みます。

③認知・行動
ものを見て理解する力や、状況に応じた行動の仕方を学びます。

④言語・コミュニケーション
言葉の理解や表現、人とのやり取りのスキルを育てます。

⑤人間関係・社会性
ソーシャルスキルトレーニング(SST)などを通して、ルールを守る力、友だちとの関わり方、感情の調整といった社会生活で求められるスキルを育てます。

 また、これらのプログラムは、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士、公認心理師(心理士)などの専門家が支援に携わることもあり、専門的な視点から子どもをサポートすることもあります。

療育(発達支援)に通う基準と利用対象

 療育(発達支援)の対象となるのは、以下の要件に該当する子どもです。児童福祉法に基づく「18歳未満」が対象となります。障害者手帳の有無は問われません。

– 身体に障害のある子ども
– 知的能力障害のある子ども
– 精神に障害のある子ども
– 発達障害の子ども
– 上記に当てはまる可能性があったり、児童相談所や市区町村保健センター、医師などによって「療育が必要」と認められたりした子ども

 「うちの子は診断がついていないけど、療育を受けられるの?」と疑問に思う保護者の方がいらっしゃいますが、実際には「これがないと受けられない」という基準はありません。医師の診断がなくても、医師以外の専門家が必要と判断した場合に療育を受けることができることもあります。したがって、「発達が少し気になる」「集団生活で困っているようだ」という段階でも、まず相談してみることが大切です。

療育(発達支援)を受けるまでの流れ

 療育を受けるためには、受給者証の取得など、いくつかのステップがあります。流れを知っておくことで、スムーズに動き出せます。

①相談
まずは身近な機関に相談することから始めます。

– かかりつけの小児科
– 市区町村の子育て支援センター・保健センター
– 児童相談所
– 市区町村の障害福祉担当窓口
– 療育(発達支援)施設

 「どこに相談すればいいかわからない」という場合は、かかりつけの小児科や、市区町村の子育て相談窓口が入口として相談しやすいでしょう。

②検査
 相談後、必要に応じて発達検査や心理検査が実施されることがあります。代表的な検査としては「新版K式発達検査」や「WISC」などがあります。検査結果をもとに、子どもの発達の状態や特性が整理されます。なお、検査の予約や実施には時間がかかることもあるため、気になったら早めに動き出すことをおすすめします。

③療育施設の選定
 子どもの特性や年齢、生活スタイルに合わせて、施設を探すことになります。市区町村の福祉窓口で施設の紹介を受けられるほか、見学や体験を受け付けている施設も多くあります。

④受給者証の申請・交付
 療育施設を公的なサービスとして利用するには、市区町村から「障害児通所受給者証」の交付を受ける必要があります。受給者証があると、施設利用料の9割が国と自治体から支援されます。利用者の自己負担は原則1割ですが、世帯の課税状況に応じて月額の負担上限額が設定されています。地域によっては診断書が必要だったり、利用料の減免や助成制度があったりするため、お住まいの自治体に確認しておきましょう。

⑤利用開始
 受給者証を取得し、施設と利用契約を結んだら、サービスの利用が開始されます。施設では個別支援計画が作成され、子どもの目標に向けた支援が始まります。

療育(発達支援)が受けられる施設

 療育(発達支援)を受けられる施設は、大きく「通所型」「入所型」「訪問型」に分かれます。

【通所型】
施設に通いながら支援を受けるタイプです。最も利用者が多い形態です。

・児童発達支援事業所
主に未就学児(0〜6歳)を対象に、日常生活に必要な基本動作の獲得や集団生活への適応のための支援などを行います。
・児童発達支援センター
地域における療育の中核となる施設で、医療・福祉・教育が一体的に提供されます。重症心身障害児など、より専門的な支援が必要な子どもにも対応しています。
・放課後等デイサービス
小学生〜高校生(6〜18歳)の就学児童を対象に、放課後や長期休暇中に生活能力の向上をねらいとした支援や地域交流などを行います。

【入所型】
家族と離れて施設に入所しながら支援を受けるタイプです。

・福祉型障害児入所施設
介護サービス、相談支援、日常生活に必要なスキルの獲得や改善のための支援、社会活動を促進するための支援などを提供します。
・医療型障害児入所施設
医療ケアが必要な子どもを対象に、疾病の治療・看護・日常生活支援・リハビリなどを行います。

【訪問型】
専門スタッフがご家庭や保育所などを訪問して支援を行うタイプです。

・居宅訪問型児童発達支援事業所
外出が困難な子どものご自宅を直接訪問し、支援を行います。
・保育所等訪問支援事業所
専門スタッフが保育園、幼稚園、小学校などを訪問し、集団生活への適応を支援するとともに、保育士や教職員などへのアドバイスも行います。

【一部の医療機関(発達外来など)】
発達外来を設けている医療機関でも、診察や検査に加えて一部の療育的支援を受けることができます。

療育(発達支援)の事例

 児童発達支援を行っているスタジオそらでは、1対1の個別での支援を基本としたプログラムを提供しています。子どもの発達段階と保護者の方からのヒアリングをもとにアセスメント(評価)を行い、個別支援計画を作成して目標を設定します。そしてその目標に向かって、粗大運動、微細運動、SST(ソーシャルスキルトレーニング)などを組み合わせた支援を行っています。「子どもが安心して楽しみながら通える」「保護者も一緒に成長を実感できる」ことを大切にしており、一人ひとりの「できるよろこび」を積み重ねていきます。スタジオそらでの療育の具体的な事例については、こちらでもご紹介しています。ぜひ合わせてご確認ください。

まとめ

 療育(発達支援)とは、障害のある子どもやその可能性のある子どもが直面している困りごとを、子ども自身が対処できる力を育てることを目指しながら、将来の自立や社会参加を目指して提供する一連の支援を指します。療育は「訓練」ではなく、その子の特性に寄り添う個別的な支援であり、診断や手帳がなくても、専門家が必要と判断すれば利用可能です。気になったら、まずは相談することが重要であり、早期に支援につながることで、子どもの可能性はさらに大きく広がることが期待できます。

小関俊祐/発達障害療育研究所アドバイザー

桜美林大学リベラルアーツ学群准教授。公認心理師、臨床心理士、日本ストレスマネジメント学会認定ストレスマネジメント®実践士、認知行動療法スーパーバイザー®、専門行動療法士、指導健康心理士®。日本ストレスマネジメント学会理事長、一般社団法人日本認知・行動療法学会理事及び企画委員長、一般社団法人公認心理師の会理事及び教育・特別支援部会長などを務める。2019年より発達障害療育研究所・スタジオそら顧問として活動。

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